【ニュース・アメリカ】米国科学工学医学アカデミー、核融合エネルギー開発投資から利益を得るためにはITER参加継続と米国内での小型実験炉構築を提案

 
米国科学工学医学アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)は2018年12月13日、報告書「米国燃焼プラズマ研究戦略計画委員会最終報告書(Final Report of the Committee on a Strategic Plan for U.S. Burning Plasma Research)」を発表した。
 
本報告書は、核融合エネルギー開発投資から利益を得るためには、大規模国際燃焼プラズマ実験である「国際熱核融合実験炉(International Thermonuclear Experimental Reactor:ITER)」プロジェクトへの参加継続に加え、小規模なパイロット施設としての核融合発電所を、できる限り低額で米国内に構築することをエネルギー省(Department of Energy)に提案している。
 
また、本報告書を作成した委員会は、中間報告書において、ITERプロジェクトから撤退した場合、科学者が国際的取り組みから孤立する可能性があるとし、核融合エネルギー国家戦略計画の導入を提案していた。米国は、ITERパートナーとして一部資金を負担することで、同プロジェクトで開発された技術がもたらす恩恵を受けることができるが、さらに利益を得るためには、米国の核融合エネルギー戦略計画が、ITERプロジェクトを通して得られた経験と、信頼性ある効率的核融合発電の開発に必要な科学工学研究を組み合わせるべきとしている。
 
また、米国で小型実験炉構築に向けた研究プログラムを開始することにより、ITER運用から学んだ知識と組み合わせて、21世紀半ばまでに、発電が実証できる可能性があるとしている。同委員会は、米国で構築する小型実験炉は、ITERと同レベルの電力生産が可能と予測しているが、サイズが小さくコストが抑えられることから、電力生産による純益が得られる可能性があるとしている。
 
なお、本報告書は、https://www.nap.edu/read/25331/chapter/1から閲覧可能。
 
2018年12月13日
 
National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine:To Benefit From its Investments in Fusion Energy, U.S. Should Remain in ITER and Initiate a National Program of Burning Plasma Research and Technology

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