米国科学工学医学アカデミー（National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine）は、既存及び新たに発生する課題の中で世界保健に関する優先事項を明らかにし、世界保健におけるリーダーとしての米国の地位を維持しながらこれらの問題に対処するために、米国政府及びその他のステークホルダーに対して提案事項14項目を提示した報告書「世界保健と米国の将来の役割（Global Health and the Future Role of the United States）」を発表した。
同報告書を作成した委員会の共同委員長で外交問題評議会（Council on Foreign Relations：CFR）アフリカ研究非常勤上級フェローのジェンデイ・フレイザー（Jendayi Frazer）氏は、国外旅行や国際貿易の成長により、過去数十年間で国家・経済・文化間での相互依存が増大し、物品やサービスへのアクセスが向上したものの、同時に様々な健康上の脅威も増大したことを指摘している。
また、世界保健対策として優先すべき領域として、以下の4つを特定している。
| ① | 世界保健セキュリティの達成 |
| ② | 感染症の継続的脅威に対する持続可能な対応の維持 |
| ③ | 女性・子供の保護と生活の向上 |
| ④ | 心臓血管系の健康促進とがんの予防 |
さらには、これら4つの優先領域への投資に対する利益を最大化し、保健に関するより良いアウトカムを達成し、資金をより有効に活用するために、米国政府に対して以下の3点を提案している。
- 医学製品の開発の促進とデジタル保健インフラの統合を通したイノベーションの促進。
- 世界保健における新たなパートナー及び資金提供者を活用するために、より柔軟性ある財務システムの導入。
- 証拠に基づく科学・経済・評価・説明責任に忠実でありながら、世界保健における世界リーダーとしての米国の地位と影響力の維持。
なお、本報告書は、以下より閲覧可能。
National Academies Press：Global Health and the Future Role of the United States
2017年5月15日
National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine：New Report Recommends Priority Actions to Achieve Global Health Security, Protect U.S. Position as Global Health Leader, and Safeguard Billions of Dollars in Health Investments
