【ニュース・アメリカ】米国科学工学医学アカデミー、SC-CO2の評価に関する報告書を発表

米国科学工学医学アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)は、二酸化炭素の社会的費用(social cost of carbon:SC-CO2)の評価に関する報告書「気候に対する損害の評価 ~二酸化炭素の社会的費用見積りのアップデート~(Valuing Climate Damages:Updating Estimation of the Social Cost of Carbon Dioxide)」を発表した。本報告書は、規制影響分析において使用するSC-CO2を見積もるために、連邦政府は、科学基盤を強化し、更なる透明性を提供すると共に、見積もりにおける不確実性の特徴付けを改善する新たな枠組みを使用すべきであると提案し、SC-CO2を算出するために必要な短期的・長期的改善点を特定している。温室効果ガスの社会的費用に関する省庁横断作業部会(Interagency Working Group on the Social Cost of Greenhouse Gases:IWG)は、2010年にSC-CO2を予測する方法論を開発したが、本報告書では、SC-CO2の予測に利用可能な最高の科学を反映させるために、3つの異なるモデルを使用するIWGの方法論の代わりに、①人口と世界経済アウトプットの予測に基づいて温室効果ガス排出量を予測する「社会経済モジュール」、②排気量の変化を温度の変化に変換する「気候モジュール」、③温度の変化による影響を価格に換算する「損害モジュール」、④「割引モジュール」、という4つの独立しながら統合的なモジュールとしてSC-CO2の算出段階が設定された枠組みを使用することを提案している。各モジュールは、最先端研究を反映する関連科学領域の専門性に基づいて開発されることになる。本報告書が今後2~3年間に実行すべきと提案する事項は以下の通り。

  • 「社会経済モジュール」では、将来的な経済活動の分布・人口変動・二酸化炭素排出量を予測するにあたり、統計的手段と専門家のインプットを使用すべき。
  • 「気候モジュール」では、CO2排出量、大気中CO2濃度、及び、平均地表温度の変化と海面上昇との間での長期的関係を適切に把握していることを確認するために、明確に定義された診断試験に合格した簡潔な地球システムモデルを採用すべき。
  • 「損害モジュール」では、既存の気候変動による損害に関する様式を改善・アップデートすべき。

なお、本報告書は、以下より閲覧可能。
National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine:Valuing Climate Damages:Updating Estimation of the Social Cost of Carbon Dioxide

 

National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine:Report Recommends New Framework for Estimating the Social Cost of Carbon

地域 北米
アメリカ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価