【ニュース・アメリカ】米国科学工学アカデミー、極地砕氷船4隻の新たな調達を提案

米国科学工学医学アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)は、北極及び南極で使用する砕氷船の現状及び調達の必要性を検証した報告書「極地での砕氷船の調達及び運用~米国のニーズの充足~(Acquisition and Operation of Polar Icebreakers:Fulfilling the Nation’s Needs)」を発表した。

 

本報告書は、砕氷船の調達・運用のライフサイクル経費を最小限とするために、米国沿岸警備隊(U.S. Coast Guard:USCG)がミッションにおけるニーズを充足することと、北極及び南極における継続的駐留を可能とすることを目的とした、強力な砕氷機能を装備する極地砕氷船を新たに4隻建造することを提案している。また、調達戦略として、国民の税金を投入する価値を最大限とするために、固定価格成功報酬契約でのセット購入を提案しており、同アプローチの下で同じ設計の砕氷船4隻を調達した場合、1隻あたりのコストは平均7億9,100万ドルになると見積もっている。

 

USCGは、複数ミッションの下での極地砕氷船として、「ポーラースター(Polar Star)」号、「ポーラーシー(Polar Sea)」号、及び「ヒーリー(Healy)」号の3隻を保有しているが、「ポーラーシー」号は2010年に大規模なエンジン事故が発生したため、2011年以降は部品の利用目的で保有されており、単独での砕氷と南極マクマード基地(McMurdo Station)への物資補給が可能なのは、1976年建造で今後3~7年以内に耐用期間が終了する「ポーラースター」号のみである。同報告書は、最初の砕氷船の建造を2019年後半に開始し、2024年半ばに就役させ、2隻目の砕氷船を2025年半ばに就役させるスケジュールを提示しており、少なくとも最初の2隻の新砕氷船就役までは、USCGは「ポーラースター」号を強化管理プログラムの下で運用させるとしている。また、経済的関心、捜索救助、防衛・安全保障準備、環境保護、海事流動性、及び、科学研究を支援する目的で、米国が高緯度地域に常駐するためには、年間を通じて信頼性あるアクセスが必要となり、全ての新しい砕氷船は、科学研究対応が整っていることが必要と提言している。

 

なお、本報告書は、以下より閲覧可能。
National Academies Press:Acquisition and Operation of Polar Icebreakers:Fulfilling the Nation’s Needs

 

2017年7月11日

 

National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine:New Report Recommends Construction of Four New Polar Icebreakers of the Same Design as the Lowest-Cost Strategy for Protecting U.S. Interests in Arctic and Antarctic

地域 北米
アメリカ
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