2018年6月14日、非営利機関のエデュケーション・トラスト(Education Trust)は報告書「高等教育における平等性の現状(The State of Higher Education Equity)」を発表した。これによると、準学士号以上の学位を保有する25~64歳の成人は、白人では47.1%であるのに対し、黒人では30.8%、ラテン系では22.6%となっており、黒人と白人、ラテン系と白人との間での格差を縮小しなければ、各州政府が掲げる州民の中で学位保有者が占める割合の目標達成は実現しないと指摘した。
本報告書は、①黒人及びラテン系による全般的な学位保有実績、②2000年以降のこれらの米国成人による学位取得者数増加状況、の2点を検証している。
全米50州中、42州が、2025年までに米国民の60%を学位保有者とするという、ルミネ財団(Lumina Foundation)が設定した目標を州政府の目標としているが、例えば、ウエストバージニア州は黒人成人が学位を保有する割合は全体の24%のみで、2000年以降の増加率も7.3%に留まるなど、現状では平均を下回っている。また、米国内で生まれたラテン系米国成人の学位保有率は29.8%で、米国外で生まれたラテン系米国人の17.2%を上回るものの、白人と比較すると約20ポイント低い。さらに、ラテン系の中でも特にメキシコ系の学位保有率が低く、プエルトリコ系・キューバ系の多いフロリダ州では、ラテン系の学位保有率・保有者増加率が高い一方で、メキシコ系の多いカリフォルニア州・テキサス州・アリゾナ州などでは、学位保有率が低くなっている。この他、準学士号取得率では黒人・ラテン系と白人との間での格差は1~3.4ポイントであるが、学士号取得率では白人が23.7%であるのに対し、黒人が14%、ラテン系が11%で、格差が拡大することも明らかになった。
なお、本報告書の詳細・データなどは以下よりダウンロード可能。
The Education Trust:The State of Higher Education Equity
Inside Higher ED:States Struggle to Close Degree-Attainment Gaps