【ニュース・アメリカ】米国成人、高等教育の価値を認めながらも学生の利益よりも大学の利益を優先との見方が大半

無党派系シンクタンクのニューアメリカ(New America)は、米国成人を対象に実施した高等教育に関する年次調査報告書「様々な学位~ニューアメリカ高等教育年次調査~(Varying Degrees:New America’s Annual Survey on Higher Education)」を発表した。

 

本報告書は、調査に参加した米国成人1,600人からの回答に基づいて作成されたもので、高等教育への参加と経済的可動性を年齢・性別・地域・社会経済的地位別に分析している。その結果、全体の約75%は大学学位保有者の方が非保有者よりも成功しやすいと回答し、これは全ての人種に共通することが明らかにされた。その一方で、全体の51%は、大学学位を必要としない高給職は多数存在すると考えていることも明らかになった。また、高等教育が正常に機能していると回答したのは全体の約25%のみで、58%は学生の利益でなく大学の利益を優先していると回答している。この傾向は、特にミレニアル世代(1980年代から2000年代初頭までに生まれた人)で強く、64%が大学の利益を最優先していると回答し、高等教育が正常に機能していると回答したのは13%のみであった。それ以外の主な結果は以下の通り。

  • 全体の59%は親の世代よりも就職が困難と回答し、64%は家族を養うことが困難と回答。
  • 良い大学に入学する可能性が高いと回答したのは全体の約40%のみ。また、全体の67%が大学は学生の成功を支援すべきと回答している一方で、多くの学生が卒業できずにいる現状を認識しており、大学進学者の大半が学位を取得していると回答したのは全体の46%のみ。
  • 営利大学に学費分の価値があると回答したのは全体の40%、私立大学に関しては43%と半数以下であったのに対し、公立4年制大学に関しては61%、コミュニティカレッジに関しては82%が価値があると回答。
  • 大学が労働力養成に「貢献している」との回答があったのは、コミュニティカレッジに関してが62%、公立4年制大学が52%、私立大学が53%で、営利大学に関しては39%のみ。

なお、本報告書は、以下より閲覧可能。
New America:Varying Degrees:New America’s Annual Survey on Higher Education

 

2017年5月11日

 

Inside Higher ED:Mixed Views on Higher Ed

地域 北米
アメリカ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育
統計、データ 統計・データ