高等教育情報を発信するインサイド・ハイヤー・エド社(Inside Higher Ed)は、調査会社のギャラップ社(Gallup)との協力の下で実施した、米国大学の最高学術責任者(Chief Academic Officer:CAO)を対象とする調査の結果をまとめた報告書「2018年大学最高学術責任者調査(2018 Survey of College and University Chief Academic Officers)」を発表した。
本報告書は、米国大学総長もしくは最高学術責任者516人からの回答に基づいて作成されたもので、大学総長は、所属大学における言論の自由に関しては全般的に自信を持っている一方で、広範的に高等教育全体でみると、多数がこの問題を懸念していることが明らかにされた。
また、経験の浅い大学教員及びマイノリティグループに属する大学教員の多くが攻撃され、学術の自由が懸念される傾向が強くなったという現状に関しては、総長の大半は、保守系政治家及びウェブサイトは、これらの大学教員を不当に非難していると主張した。
主な結果は以下の通り。
- 大学総長の大半は、所属大学における学術的健全性は依然として強力であると考え、確信の度合いは近年変更なし。
- 最高学術責任者は、教養学を強く支持しているが、教養課程及び教養大学の将来に関しては多数が悲観的。
- 最高学術責任者の大半は、所属大学が一般との協力や一般を対象とする講演の促進に努力していると考える一方で、現在の政治情勢により、この取り組みは以前よりも困難と回答。
- 総長の大半は、学生は授業の中で政治的意見を自由に発言できると考える一方で、自由に発言できる可能性の高い学生は、主にリベラル系学生及び白人学生。
- 総長の大半は、教員は自身が執筆した教科書を教材に指定して利益を受けるべきではないとしながら、これを禁止する大学は少数。
- 以前と比較すると、能力に基づく教育に価値を見出す総長が増加しているものの、能力に基づく教育に対する支持は、依然として公立大学が私立大学を上回る。
なお、本報告書は、「2018 Survey of College and University Chief Academic Officers」で必要事項を記入後、ダウンロード可能。
2018年1月24日
Inside Higher ED:The Pressure on Provosts