【ニュース・アメリカ】米国大学、成長・拡大を続ける「勝ち組」と学生数が継続して減少する「負け組」に二極化 高等教育機関ランキング分析から

 
ウォールストリートジャーナル紙(The Wall Street Journal)は、近年、非営利大学が成長・拡大を続ける「勝ち組」と学生数が継続して減少する「負け組」に二極化されつつあり、同紙とタイムズ高等教育誌(Times Higher Education)が共同発表する高等教育機関ランキング(The Wall Street Journal/Times Higher Education College Rankings)において、上位にランクされる大学は「勝ち組」になる一方で、下位にランクされる大学は「負け組」になる傾向が強いことを明らかにした。
 
同紙は例として、僅か300マイル離れて位置し、いずれも南北戦争直後に開学した歴史あるコンコード大学(Concord University、ウエストバージニア州)とクレムゾン大学(Clemson University、サウスカロライナ州)を比較しており、具体的に、大規模研究大学のクレムゾン大学は、2017年の新入生数が過去最高で、2017年12月には8,700万ドルを投入して経営学部の新学舎を起工したのに対し、中規模教養大学のコンコード大学は、新入生数が5年間で19%減少し、1,200万ドルあった予備金も使い果たし、ほぼ滞在者のいない学生寮2棟を解体する資金もないという。
 
前述のランキングでは、クレムゾン大学が188位にランクされているのに対し、コンコード大学のランキングは1,052校中1,051位である。また、これら1,052校のうち、新入生在籍数データのある大学1,040校では、1996年~2011年の間で新入生在籍数は37%増であったが、2011年~2016年の間においては、下位20%の大学では新入生在籍数が2%減であったのに対し、上位80%の大学では7%増であることが判明した。
 
さらに、この二極化は、卒業生の年収にも顕著に表れており、クレムゾン大学卒業生の入学から10年後の平均年収は5万ドルで、連邦学資ローン返済滞納率は3%であるのに対し、コンコード大学卒業生では、入学から10年後の平均年収3万2,000ドル、連邦学資ローン返済滞納率15%であるという。オハイオ大学(Ohio University)教員で、「大学の手の届きやすさ・生産性センター(Center for College Affordability and Productivity)」ディレクターのリチャード・ベダー氏(Richard Vedder)は、ランキングの低い大学にとっては厳しい時代が待っていると予測している。
 
2018年2月21日
 
The Wall Street Journal:U.S. Colleges Are Separating Into Winners and Losers

 

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