【ニュース・アメリカ】米国人の約3分の2、ヒトゲノム編集を容認という調査結果が公表される

ウィスコンシン大学マディソン校(University of Wisconsin-Madison:UWM)とテンプル大学(Temple University、ペンシルバニア州)の社会科学者らは、ヒトゲノム編集に対する米国人の意識に関する調査結果をまとめた論文「ヒトゲノム編集に対する米国人の意識(U.S. attitudes on human genome editing)」を「サイエンス(Science)」誌で発表した。

 

これによると、2016年2月に発表された医療情報機関のSTAT社とハーバード大学公衆衛生学部(Harvard T.H. Chan School of Public Health)による調査結果や、同7月に発表されたピュー研究センター(Pew Research Center)による調査報告書では、回答者の多くが倫理面を含む問題を懸念していたのに対し、今回の調査の回答者1,600人のうち、約3分の2はゲノム編集を容認していることが明らかにされた。但し、容認の度合いは、ゲノム編集の目的及び将来の影響によって大きく左右され、例えば、生殖細胞系列の強化を目的としたゲノム編集に対しては、26%が容認、51%が容認不可と回答しているのに対し、体細胞の強化が目的である場合は、容認39%、容認不可35%となっている。また、宗教的信仰によっても容認度が異なり、さほど信仰が深くないと自己申告する人々は、健康増進のためのゲノム編集利用に対して79%が支持しているのに対し、進行が深いと自己申告する人々では支持が50%のみであった。さらには、ゲノム編集に関する知識の程度も容認度に大きな影響を与えることが判明し、具体的には、ゲノム編集の事実に関する質問9問に対する正解がゼロであった回答者の中では、治療目的での同技術利用の支持者は32%、強化目的での利用に対する支持者は19%であったのに対し、6問以上正解者の中では、治療目的での利用支持者は76%、強化目的での利用支持者は41%であった。本論文の共同執筆者の1人であるUWMのディエトラム・シューフェル(Dietram Scheufele)氏は、米国人はゲノム編集技術全般に反対している訳ではないとコメントしている。

 

2017年8月10日

 

Science:Americans are becoming more open to human genome editing, survey finds, but concerns remain

地域 北米
アメリカ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
統計、データ 統計・データ