研究大学・科学グループ・民間企業が参画する米国イノベーションタスクフォース(Task Force on American Innovation)は2019年5月14日、米国における科学工学研究への投資状況を検証したベンチマーク調査報告書「2019年ベンチマーク ~米国は二番手?米国科学リーダーシップが直面する問題の増大~(Benchmarks 2019: Second Place America? Increasing Challenges to U.S. Scientific Leadership)」を公開した。
これによると、米国の研究開発拠出額は、現在も世界一位ではあるものの、世界全体で占める割合は低下しており、中国が追い抜く勢いである他、韓国ドイツ・英国などが、研究投資増加に向けた国家戦略を策定しているという。
主な結果は以下の通り。
- 韓国政府は、基礎科学研究拠出額を2022年までに倍増させる計画を2018年夏に発表。また、ドイツ政府は、研究開発費を国内総生産(GDP)の2.9%から3.5%に増大させることを2018年に誓約。さらに、英国政府は、2027年までに研究開発投資をGDPの2.4%まで増加させるという戦略を2017年に発表。一方、中国は、2016年~2020年の最新5年間計画において、2020年までに研究開発費をGDPの2.5%とすることを誓約。
- 2016年に中国が発表した研究成果数は米国を上回り、工学・物理学・科学・地球科学・数学などを含む主要分野では、中国による研究成果数が最多。
- 米国の特許生産性は近年低下しているのに対し、韓国・台湾・シンガポールなどでは向上。
- 中国の科学工学分野での学士号付与数は、2000年代前半以降は米国を上回っており、2000年~2014年では約360%増。
- 中国では、2000年~2014年の間に科学工学分野での博士号付与数が53%増となり、2014年の博士号付与数は米国に肉薄。
- 科学工学研究者数は、2010年時点で中国が米国を追い越し、中国では、2009年~2015年の間に研究者1人当たりの研究開発国内総支出(GDE)が約43%増。
- 世界のスパコン500位以内にランクされるスパコン数は、2018年に中国が米国を上回る。
2019年5月14日
なお、本報告書は、「Second Place America?」(PDF:4.51MB)からダウンロード可能。
Task Force on American Innovation:TFAI Briefs Policymakers On American Innovation & Competitiveness