【ニュース・アメリカ】科学者のキャリアの成功、無作為的要因によるところが大きいことが判明

中央ヨーロッパ大学(Central European University、ハンガリー)に所属する統計物理学者のロベルタ・シナトラ氏(Roberta Sinatra)らは、科学者のキャリアの成功要因に関する研究論文「(Quantifying the evolution of individual scientific impact)」を2016年11月3日付の「サイエンス(Science)」誌で発表した。本研究は、2013年にノースイースタン大学(Northeastern University、マサチューセッツ州)に所属する統計物理学者のアルバート・バラバシ氏(Albert-László Barabási)らが、論文の現在の引用軌跡を計算することにより、今後引用される割合を予測可能と結論付ける論文を発表したことを受け、科学者の発表する全ての論文の将来的な引用が予測できるのであれば、その科学者の成功に関する予測が可能か否かとの疑問が起点となっている。シナトラ氏らは、米国物理学会(American Physical Society)の学術誌と引用文献データベースの「ウェブ・オブ・サイエンス(Web of Science)」のデータを使用して、少なくとも20年以上研究に取り組み論文10本以上を発表した科学者約1万人を明確にし、論文合計51万4,896本の引用文献を検証した。その結果、成功の如何は非常に無作為的であることが判明したという。また、論文執筆者らが「Q」と呼ぶ無作為でない要因を算出するためには、少なくとも20本以上の論文と10年以上の文献引用期間が必要であることが明らかにされ、この「Q」要因に基づくと、科学者の40本目の論文が引用される回数を80%の精度で予測可能であることが判明したとしている。

 

なお、本論文の要約は、以下より閲覧可能。
Science:Quantifying the evolution of individual scientific impact

 

Science:Hey scientists, how much of your publication success is due to dumb luck?

地域 北米
アメリカ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 研究