米国調査研究所(AIR)は、報告書「社会人対象の大学授業料無料化プログラム」を発表した。本報告書は、社会人学習者を対象として大学授業料を全額免除とする奨学金プログラム合計67件を調査したものである。
これによると、社会人学習者を対象とする大学授業料全額免除プログラムが提供されている州は、全米で22州とワシントン DC のみであることが判明した。また、これらの奨学金プログラムのうち、州内の全大学で利用可能な奨学金プログラムは15件のみで、授業料が無料となる大学の選択肢の中に公立2年制大学最低1校が含まれるプログラムは全体の85%、公立4年制大学最低1校が含まれるプログラムは27%であった。
さらに、米国高等教育学資援助研究の結果から、①社会人学習者対象の奨学金プログラムのうち、過去に大学在籍経験があり、大学単位を一部取得しているものの学位を保有していないという学生も受給対象とするものは半数以下で、25歳以上の成人の20%は受給対象外、②社会人学生の63%はパートタイム学生であるにもかかわらず、パートタイム学生を受給対象とするプログラムは18件のみ、などが明らかにされている。
本報告書の共同著者で、AIR 高等教育応用研究センターディレクターの アレクサンドリア・ウォルトン・ラドフォード氏は、数百件という授業料全額免除奨学金プログラムの中で、社会人学習者が利用可能なものはごく僅かであることに驚いたとし、大学授業料無料化プログラム導入を計画する人々が、申込要件が大多数の社会人学習者による参加機会の障壁となっていることを本報告書から認識できることに期待するとコメントしている。
なお、本報告書は、こちら からダウンロード可能。
7月15日
Inside Higher ED: Limited Access, Thwarted Opportunities
地域 | 北米 |
国 | アメリカ |
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