【ニュース・アメリカ】白人至上主義グループによる大学キャンパスでの宣伝活動、2017年秋学期に発生した件数は前年同期比258%増

 
名誉棄損防止組合(Anti-Defamation League:ADL)は2018年2月1日、米国大学キャンパスにおける白人至上主義宣伝活動に関する新たなデータを発表した。
 
ADLの過激主義センター(Center on Extremism)は、白人至上主義者がチラシ・ステッカー・横断幕・ポスターなどを使用して大学キャンパスにおいてメッセージを拡散するという事件が、2016年9月1日以降、全米44州及びワシントンDCに所在する大学216校において346件発生したことを確認しているが、このうち333件はドナルド・トランプ氏(Donald Trump)の大統領当選後に発生しているという。
 
また、2017年秋学期(9月1日~12月31日)には、このような事件が147件発生しており、2016年秋学期の41件と比較すると258%増となっていることが明らかにされた。これらのグループの中で最も活発に活動を行っているのは、白人米国人文化の維持と欧州系白人のアイデンティティ促進を重視する白人至上主義グループ「アイデンティティ・ヨーロッパ(Identity Evropa:IE)」で、346件の事件の46%となる158件は同グループによるものである。
 
また、「ペイトリオット・フロント(Patriot Front)」と「バンガード・アメリカ(Vanguard America)」も、2018年1月後半に大学キャンパスをチラシで埋め尽くす活動を行っており、「バンガード・アメリカ」は、ミドルテネシー大学(Middle Tennessee University)に掲示されていた「黒人歴史月(Black History Month)」のポスターを同グループの提唱する主義に書き換える行為を行った。州別では、テキサス州とカリフォルニア州において2017年秋学期に発生した事件が、それぞれ61件、43件と多く、これらの2州は「IE」及び「ペイトリオット・フロント」の中心人物の地元であることから、頻繁な勧誘活動が大学キャンパスにおいて行われていると分析されている。
 
この他、人種差別主義者として有名なリチャード・スペンサー氏(Richard Spencer)は、テキサスA&M大学(Texas A&M University)で2016年12月に、オーバーン大学(Auburn University、アラバマ州)で2017年4月に、フロリダ大学(University of Florida)で2017年10月に、それぞれ講演を行っており、今後、2018年3月にミシガン州立大学(Michigan State University)で、また、4人の学生が州兵に殺害されてからちょうど48年となる2018年5月4日にはケント州立大学(Kent State University、オハイオ州)で、それぞれ講演を行う予定とされている。
 
ADL最高経営責任者のジョナサン・グリーンブラット氏(Jonathan Greenblatt)は、大学キャンパスは言論の自由を尊重すべきとはいえ、大学当局は、ヘイトグループによるメッセージへの対策を講じ、偏見的信念は学び舎である大学には相応しくないことを提示しなければならないとコメントしている。
 
Anti-Defamation League:ADL Finds Alarming Increase in White Supremacist Propaganda on College Campuses Across U.S.

 
2018年2月1日
 
Inside Higher ED:Surge in Campus Propaganda From White Supremacists

 

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アメリカ
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