米国教育統計センター(NCES)は、新型コロナウイルス感染症パンデミックが大学の在籍学生数や財政安定性に及ぼした影響を、人口学的分類及び大学の種類別に分析した報告書「2019–20学年度米国高等教育学資援助研究」を発表した。これによると、大学生の約40%がパンデミックによる金銭的悪影響を経験し、4.4%が中退、3.8%が休学したことが明らかにされた。また、学生の87.5%はパンデミックで履修登録科目に何らかの影響を受け、84.1%は一部もしくは全部の講座が完全オンライン様式に切り替えられたとした。その他の主な結果は以下の通り。
- パンデミックにより中退・休学した学生の割合は、営利大学在籍学生が公立・非営利私立大学在籍学生を上回る。
- パンデミックによる中退者の割合は、公立2年制大学で6.8%であったのに対し、公立4年制大学では2.7%で非営利私立4年制大学では2.9%。
- 大学生の27.5%はパンデミックにより住環境が変わったとし、22%は実家に帰宅、5.3%は別の住環境に転居したのに対して、3%は安全且つ安定した住環境を見つけることが困難であったと回答。また、安全・安定した住環境を見つけることが困難であったと回答した学生の割合は、同性愛者・性別非特定者の学生に限定すると9.1%、留学生に限定すると6.5%。
- 大学生の28.6%はパンデミックにより失業もしくは就労時間短縮による減収を経験。また、9.1%は食糧確保が困難であったと回答。食料確保が困難であったと回答した学生の割合は人種間での格差が大きく、黒人学生13.5%、米国・アラスカ先住民学生12.6%、ハワイ先住民・太平洋諸国系学生11.8%、ヒスパニック系学生9.9%であったのに対し、白人学生とアジア系学生はいずれも7.3%。
- 12歳未満の子どもを育てながら学業に取り組む学生の21.7%は、安全かつ安定した保育所を見つけることが困難であったと回答(女子学生23.7%、男子学生14.1%)。
- 財政支援が必要であった学生は全体の約40%であったにもわらず。在籍する大学から緊急財政支援を受けた学生は全体の15%弱。
- 大学を中退した学生の割合は、黒人学生では全体の7.2%で、白人学生の3.4%の2倍以上。また、年齢グループ別で見ると、24歳以上のグループでは6%強が退学したのに対し、15~23歳のグループでは7.7%。
なお、本報告書は、こちら からダウンロード可能。
6月17日
Inside Higher ED: Quantifying COVID Impacts
地域 | 北米 |
国 | アメリカ |
取組レベル | 大学等研究機関レベルでの取組 |
大学・研究機関の基本的役割 | 教育 |
統計、データ | 統計・データ |