【ニュース・アメリカ】教育省、連邦学資ローン利用者の経済的困窮によるローン返済免除措置の判断に関する意見を募集

 
教育省(Department of Education)は2018年2月20日、連邦学資ローン利用者の経済的困窮によるローン返済免除措置の判断に関し、パブリックコメントを募集することを発表した。連邦学資ローン利用者が経済的困窮状態に陥った際に、1998年までは、ローン利用者が返済を7年以上継続した後に自己破産を申請した場合、連邦学資ローンも返済免除の対象とされていたが、同年に制定された法律により、非常に特別な状況を除いては、ローン返済免除措置をとることが非常に困難となっている。
 
連邦上院議員の中には、エリザベス・ワレン上院議員(Elizabeth A. Warren、マサチューセッツ州選出民主党)を始め、複数の議員が自己破産したローン利用者に対して返済免除措置をとることを認める法案を議会に提出している。この件に関して、シンクタンクのニューアメリカ(New America)で連邦高等教育政策担当ディレクター代理を務めるクレア・マッキャン氏(Clare McCann)は、ローン返済が不可能な利用者からの債務取り立てのために、連邦政府が多大な資金を投入していることから、適切な返済免除基準を策定することにより、教育省にもローン利用者にも好都合となるとしている。
 
但し、経済的困窮の基準を適切に設定する必要があり、一定期間、ローン利用者の収入に応じた返済額を設定する「収入に基づく返済」の導入が適切と提案している。また、米国エンタプライズ研究所(American Enterprise Institute)レジデントフェローのジェイソン・デライル氏(Jason Delisle)も、連邦学資ローンを自己破産による返済免除の対象外とする規則に関し、例外措置が必要と主張している。
 
なお、議会は、自己破産によって連邦学資ローン返済免除措置が適用される「多大なる困窮状態」に関して明確な定義付けは行っておらず、裁判所による判断に委ねている。
 
なお、教育省によるパブコメ募集は、「Request for Information on Evaluating Undue Hardship Claims in Adversary Actions Seeking Student Loan Discharge in Bankruptcy Proceedings」(PDF)からダウンロード可能。

 

2018年2月20日
 
The Chronicle of Higher Education:Education Dept. Eyes Changes in Bankrupt Borrowers’ Ability to Discharge Loans
 

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