【ニュース・アメリカ】教育省、大学認可機関の連邦基準緩和に関する規則制定案告示を公示

 
教育省(Department of Education)のベッツィー・デボス(Betsy DeVos)長官は2019年6月12日、大学認可機関の連邦基準緩和に関する規則制定案告示(Notice of Proposed Rulemaking:NPRM)を連邦官報(Federal Register)に公示した。
 
この新規制案は、大学がプログラムに関して外部委託の活用を推進することと、新たな学位付与及び新キャンパス開設にあたり大学認可機関の許可を不要とすることを目指している。
 
具体的に、プログラムの外部委託に関しては、現行規則では認可機関から委託を受けた委員会による独立審査を通した許可が必要とされているが、変更後は、大学による申請から90日以内に認可機関職員による許可が得られた場合、プログラムの最高50%まで外部委託が可能になる。
 
また、新たな学位付与及び新キャンパス開設に関しては、大学認可機関の許可は不要となるが、認可機関職員が後日レビューを行う可能性を残している。さらに、連邦基準を完全に充足しない認可機関に対しては、新たに設定される「実質的コンプライアンス(substantial compliance)」という状態の下で、当該機関が認可を受けた大学については認可校としての地位が維持できるようにし、基準の大半を充足している認可機関の審査は、認可機関を監督する独立委員会ではなく教育省が行うことになる。
 
これらの変更は、大学認可手続きの効率化を訴える高等教育グループの要求に応えるものであるが、一方で、消費者グループは、認可機関による大学の監督が緩められ、質の低いプログラムに学生が入学し、連邦学資援助が投入されることになると反対している。
 
教育省は、新規則の導入によって大学による新プログラム開講に伴う負担が軽減されることから、連邦学資援助受給対象プログラム数が増加し、ひいては、低所得層学生対象の連邦奨学金「ペルグラント(Pell Grant)」受給者数も増加すると予測しており、同プログラム費は10年間で37億4,000万ドル増になる見込みとしている。
 
なお、教育省は、今回提案した規則変更には、高等教育団体の米国教育審議会(American Council on Education:ACE)、高等教育認可審議会(Council for Higher Education Accreditation:CHEA)、及び、大学学長を中心に構成された連邦議会上院高等教育規則タスクフォース(U.S. Senate Task Force on Federal Regulation of Higher Education)からの助言・提案を取り入れたとしている。
 
本規則制定案告示は、「Student Assistance General Provisions, the Secretary’s Recognition of Accrediting Agencies, the Secretary’s Recognition Procedures for State Agencies」で閲覧可能。

 

2019年6月12日
 
Inside Higher ED:Rewriting the Rule Book for College Accreditors.

 

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