【ニュース・アメリカ】教育省、大学構内での性的暴力から学生を保護するための現行指針を取り消し、新指針制定に向けたパブコメを募集

教育省のベッツィー・デボス(Betsy DeVos)長官は2017年9月7日、ジョージメイソン大学(George Mason University、バージニア州)で講演し、大学生を性的暴力から保護するために2011年にオバマ政権が大学に期待する内容を提示した指針に関し、新たな指針に移行するための手続きを開始すると発言した。

 

デボス長官は、オバマ政権が大学構内における性的暴行問題に注意を向けたことに関しては評価したものの、現行システムの下でのアプローチは、被害者、(適正手続が得られなかった)被疑者、及び、大学側のいずれにとっても害を及ぼすものと批判し、新たな指針決定に向けてパブコメ募集期間を設定することを明らかにした。また、教育省広報官は、デボス長官の講演後に、新たな指針が決定されるまでの間、当面は、教育省から大学に対し、性別間での平等を定めた高等教育法第9条(Title IX)の下での義務をどのように果たすかを明確にする、との補足説明を発表している。

 

デボス長官による発表を受け、上院教育委員会委員のパティ・マレイ上院議員(Patty Murray、ワシントン州選出民主党)は、教育省公民権担当長官補佐代行のキャンディス・ジャクソン(Candice E. Jackson)氏が「大学構内で発生する性的暴行の被害者による告発の90%は行為に及んだことに対する後悔が原因」と発言して後に謝罪したことや、トランプ大統領の性的暴行に対する意識が問題視される過去の言動などを指摘し、大学構内における性的暴力問題と闘う手段に関してデボス長官には助言が必要との声明を発表し、現行指針を取り消したデボス長官に対する失意を表明した。また、大学における性的暴行被害者の擁護者らは、性的暴行被害者らを不利な立場に置き、被害者の権利を攻撃するものとして、デボス長官の発表を批判した。

 

The Chronicle of Higher Education:Citing Obama-Era Failures, DeVos Will Replace Landmark Directive on Sexual Assault

 

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