【ニュース・アメリカ】政権、連邦学資ローン負債監督業務を教育省から財務省への移行を検討中

トランプ政権は、教育省(Department of Education)の連邦学資援助局(Office of Federal Student Aid:FSA)が責任を担う1兆ドル超の連邦学資ローン負債の監督業務を、財務省(Department of Treasury)の管轄下に移行することを検討中である。これは、2017年5月23日にFSA首席執行官のジェームズ・ランシー(James Runcie)氏が職員宛に送付した退任通知によって表面化したものである。

 

教育省の廃止・縮小は、共和党が長年に亘って掲げてきた目標の1つで、トランプ大統領も、自身の著書「活動不能な米国(Crippled America)」の中で、同省の廃止もしくは権限の縮小を主張している。FSAは、これまでにも負債回収プログラムの有効性と支出に関する批判を受けており、2015年には政府説明責任局(Government Accountability Office:GAO)から返済オプションを学生に周知させるための取り組みが不十分と指摘された他、消費者金融保護局(Consumer Financial Protection Bureau)からは、ローンサービス提供企業に対する教育省の管理方法を変更すべきと圧力をかけられていた。同業務の財務省への移行に関しては、オバマ政権下で教育次官代理を務めたジェームズ・クバール(James Kvaal)氏のように、連邦学資ローンプログラムは収入に基づくプログラムであることから、国税庁(Internal Revenue Service:IRS)と同じ管轄省庁の監督下に置くことにより効率性が改善されると賛同する声がある一方で、オバマ政権下で財務長官代理を務めたサラ・ブルーム・ラスキン(Sarah Bloom Raskin)氏のように、学資ローン利用者に支援を提供する省庁から、必要最小限数の職員のみが勤務する省庁に移行すると、間違いなく混乱が生じると反対する意見がある。なお、財務省では、滞納された学資ローン返済の回収に職員が取り組むパイロットプログラムを2015年半ばから実施したが、回収率の向上にも返済オプションに関する理解の向上にも繋がらず、民間業者による取り組みの方が回収額が高く、より多くのローン利用者が滞納から抜け出すことができたという結果になった。

 

2017年5月25日

 

The New York Times:Trump Administration Considers Moving Student Loans from Education Department to Treasury

地域 北米
アメリカ
取組レベル 政府レベルでの取組
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