高等教育関連情報を提供するインサイド・ハイヤー・エド社(Inside Higher ED)は1月21日、米国大学最高学務責任者(Chief Academic Officer:CAO)を対象として、調査会社のギャラップ社と共同で実施した調査結果をまとめた報告書「2020年大学最高学務責任者調査(The 2020 Survey of College and University Chief Academic Officers)」を発表した。
大学CAO 597人からの回答に基づいた本調査結果によると、所属大学が才能ある教員の募集・保持において非常に有効と回答したCAOは、全体の22%のみで、2012年~2014年に実施した調査時の約半分であることが明らかになった。その他の主な結果は以下の通り。
- 調査に参加したCAOの87%は、所属大学の学術的健全性は「優秀」または「良好」と回答。
- 回答者ほぼ全員が、所属大学は質の高い学士課程教育の提供において有効と回答した一方で、「非常に有効」と回答したCAOは57%のみで、具体的にどのように有効であるかについては多数のCAOが曖昧な立場を表明。
- 全体の81%が、所属大学において「テニュア(終身在職権)は重要且つ不可欠」であることに「同意」または「強く同意」して過去最高。その一方で、77%は、授業指導においては非テニュアトラック教員に大きく依存と回答。
- 回答者の87%は、教養教育は学士課程教育にとって非常に重要としながら、全体の80%以上は、米国では教養教育の概念が理解されていないと回答。
- 学部閉鎖を決定する際に、当該分野専攻学生数は適切な判断基準か否かについて、意見二分。2019年調査時は、不適切とする意見が主流。
- 高等教育界で学部閉鎖傾向が広まっていることに対し、約75%のCAOが懸念を表明。
- CAOは、今後、所属大学では、芸術科学プログラムよりもSTEM(Science, Technology, Engineering, and Mathematics)プログラムや専門プログラムに対して、より多くの資金が割り当てられると予測する傾向。
- CAOの72%は、高等教育界は教員による性的ハラスメントを長年に亘って許容してきたと回答したのに対し、自身の所属大学においても同様と回答したCAOは15%のみ。
- CAOの大半は、性的ハラスメント予防に向けて厳格な方針を擁護。また、所属大学では、そのための明確な方針があり、疑惑が発生した際には公平且つ有効に対応と大半が回答。
なお、本報告書は、こちらに必要事項を記入後、ダウンロード可能。
Inside Higher ED: For Provosts, Pressure Over Money
1月21日