【ニュース・アメリカ】憂慮する科学者連合、トランプ政権発足後の1年間における科学諮問委員会の現状は過去約20年間で最悪と主張

 
憂慮する科学者連合(Union of Concerned Scientists:UCS)は2018年1月18日、報告書「科学的助言の却下 ~政権発足後1年が経過し、トランプ政権は科学諮問委員会を脇に追いやる~(Abandoning Science Advice: One Year In, the Trump Administration Is Sidelining Science Advisory Committees)」を発表した。
 
本報告書は、トランプ政権が科学委員会の招集及び人員補充を怠り、これらの委員会による科学的主張を弱め、一部の委員会を廃止するなどといった現状を詳細に提示し、独立した専門家による助言を必要とする連邦省庁の諮問委員会の現状は、過去約20年の中で最悪であるとしている。
 
本報告書筆頭執筆者のジェナ・リード氏(Genna Reed)は、連邦省庁が政策決定を行う時には証拠を考慮すべきで、科学的根拠へのアクセスがない場合、これらの省庁が一般を保護し、情報を提供するとは信用できないとし、政治や強力な産業界によるロビー活動に基づく政策は許されないと主張した。
 
UCSが連邦省庁24機関の科学諮問委員会73組織を検証した主な結果は以下の通り。

  • 2017年に連邦省庁の科学諮問委員会が開催した会議の回数は、記録を始めた1997年以降で最少。
  • 約3分の2の委員会において、開催された会議の回数が指示された回数を下回る。
  • 諮問委員会構成員の人数は、2016年から14%減で、オバマ政権発足初年度の7%減、ブッシュ政権発足初年度の1%未満減と比較して顕著な減少。
  • エネルギー省(Department of Energy)、商務省(Department of Commerce)、及び、環境保護庁(Environmental Protection Agency:EPA)において諮問委員会に参加する専門家の人数は、1997年以降のどの年と比較しても少ない。
  • 内務省のライアン・ジンキ(Ryan Zinke)長官は、諮問委員会が保留を提言したユタ州の国定記念物2件に対する予算を独断で大幅に削減し、気候変動・天然資源科学諮問委員会(Advisory Committee on Climate Change and Natural Resource Science)を完全に廃止。
  • 食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)は、栄養・食品安全性などの問題を検証する食品諮問委員会(Food Advisory Committee)を廃止。

 
なお、本報告書は、「Abandoning Science Advice」(PDF:1.3MB)からダウンロード可能。
 
2018年1月18日
 
Union of Concerned Scientists:Trump Administration Undermines Independent Science Advice
 

地域 北米
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