ジョージタウン大学(Georgetown University、ワシントンDC)のジョージタウン教育・労働力センター(Georgetown Center on Education and the Workforce:Georgetown Center)は、学業実績及び就職後の収入を男女で比較した報告書「女性は勝てない ~教育的進歩と高収入に繋がる専攻分野の追求にもかかわらず、女性の収入は未だに男性を下回る~(Women Can’t Win: Despite Making Educational Gains and Pursuing High-Wage Majors, Women Still Earn Less than Men)」を発表した。
本報告書の分析によると、女性の大学進学者及び卒業者数は男性を上回り、STEM(Science, Technology, Engineering, and Mathematics)及びビジネスといった高収入に繋がる分野の専攻者数も増加しているにもかかわらず、女性の収入は男性の81%であること、専攻分野や職位が同じであっても男性の92%に留まっているが明らかにされている。
主な結果は以下の通り。
- 準学士号取得者の61%、学士号取得者の57%、修士号取得者の60%、博士号取得者の52%が女性。その結果、1975年には男性の57%であった女性の収入が、81%にまで格差を縮小したものの、解消はされておらず。
- 工学専攻の女子学生の割合は、1970年の1%から17%に増加。その一方で、就職後の収入の低い分野では女子学生の割合が高く、教育学専攻学生の約76%は女子学生で、1970年からほぼ変化なし。
- STEM専攻の女子学生は増加しているものの、比較的収入の低い生物・生命科学分野の専攻者が多く、女子学生の割合は54%。ビジネス専攻者に関しても同様で、高収入に繋がる金融学専攻者の中で女子学生が占める割合は全体の33%であるのに対し、比較的低収入の人事専攻者では女子学生が全体の65%。
- 高収入が得られる職業領域においても、女性CEOは全体の27%、女性弁護士は44%、女性医師・外科医は43%で、いずれも半数以下。これに対し、市場研究アナリスト・マーケティングスペシャリストの59%、パラリーガル・司法助手の85%、正看護師の89%は女性。
これらの結果を受け、同センターは、女性が男性と同等の収入を得るためには、①学位を1つ余分に取得、②高収入に繋がる専攻分野を選択、③教養学を専攻する場合は、中流収入を得るために上級学位を取得、④初任給の金額を十分に交渉、⑤高等教育機関が付与する職業関連修了証は、女性の場合は雇用市場での価値が限定されるため要注意、⑥学士号を取得しない場合、工業関連の資格取得を考慮、の6つが必要としている。
なお、本報告書は、「Women Can’t Win: Despite Making Educational Gains and Pursuing High-Wage Majors, Women Still Earn Less than Men」(PDF:1.92MB)からダウンロード可能。
2018年2月27日
Georgetown University:Women Need One More Degree Than Men to Earn the Same, Says New Georgetown University Study