2018年6月14日、アメリカン・エンタープライズ研究所（American Enterprise Institute：AEI）のジェイソン・デライル（Jason D. Delisle）氏は大学院卒業者の連邦学資ローン返済状況を大学別で検証した報告書「学資ローン返済率の低い大学院（Graduate Schools with the Lowest Rates of Student Loan Repayment）」を発表した。
本報告書は、これまでにほとんど扱われてこなかった大学院における連邦学資ローン返済状況を検証した報告書で、調査対象となったのは、2009年にローン返済を開始した卒業者数が100人以上の大学院である。卒業生のローン返済状況を2009年から2014年まで追跡し、大学別比較を行っている。
主な結果は以下の通り。
- 教育省（Department of Education）の推計によると、大学院での連邦学資ローン利用者が収入に基づく返済プランを利用する場合、負債額100ドルに就き、納税者の負担額は約20ドル。
- 2014年時点の連邦学資ローン負債元本残高が2009年時点から減っていない利用者の割合は平均20％。この割合が高い大学院上位20校のうち、12校は歴史的黒人大学（historically black colleges and universities：HBCU）で、営利大学3校、HBCUでない非営利私立大学3校、公立大学2校。
- 2014年時点の連邦学資ローン負債元本残高が2009年時点から減っていない利用者の割合が全米平均を上回る大学のうち、2009年時点でのローン負債総額の高い大学は、ニューヨーク大学（New York University、非営利私立、11億3,500万ドル）、フェニックス大学（University of Phoenix、営利、8億8,300万ドル）、ノバサウスイースタン大学デイビー校（Nova Southeastern University－Davie、非営利私立、4億1,200万ドル）、ウォルデン大学（Walden University、営利、2億7,400万ドル）、カペラ大学（Capella University、営利、2億800万ドル）など。
AEI：Graduate schools with the lowest rates of student loan repayment（報告書PDFあり）
