【ニュース・アメリカ】大学生の保護者を対象とした連邦学資ローン「ペアレントPLUS」、アフリカ系米国人利用者による返済滞納率が高いことが判明

 
シンクタンクのニューアメリカ(New America)は2018年5月15日、大学生の保護者を対象とする連邦学資ローンプログラム「ペアレントPLUS(Parent PLUS)」の現状に関する報告書「PLUSローン負債に見られる富の格差(The Wealth Gap PLUS Debt)」を発表した。
 
これによると、学士課程在籍学生の保護者であるアフリカ系米国人の同ローン利用者による返済滞納の割合が非常に高く、学生だけでなく、家族も学資ローン返済に苦しんでいることが明らかにされた。
 
PLUSローンは、他の連邦直接ローンとは異なり、収入に基づく返済計画などのオプションがなく、老後の生活の安定が脅かされる可能性もあることから、本報告書は、PLUSローン利用者が管理不可能な負債を抱える状況に陥ることがないようにするために、暫定的な政策修正を行うと共に、自己破産によるローン返済免除を可能とすることや、大学による説明責任の強化などを提案している。
 
同報告書執筆者で、ニューアメリカ教育政策プログラム研究ディレクター代理のレイチェル・フィッシュマン氏(Rachel Fishman)は、PLUSローン利用者の中で低所得黒人家庭の割合が非常に高いことに関し、過去の政策の影響を受けて貧富の人種格差が拡大しているためとし、例えば、第2次世界大戦後には、復員軍人援護法(GI Bill)により、軍人が郊外に住居を購入するためのローンを確保できることになった一方で、連邦住宅局(Federal Housing Administration)の方針により、黒人家庭は白人居住地区での住宅購入が禁じられたため、その後の不動産価値に格差が生じ、大学進学のための資金調達にも影響を与えてきたと指摘している。
 
2018年5月15日
 

Inside Higher ED:How Parent PLUS Worsens the Racial Wealth Gap
 

地域 北米
アメリカ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育
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