【ニュース・アメリカ】大学学部課程におけるSTEM科目授業、講義中心型授業と能動的学習型授業との間で落第者数の割合に顕著な格差

ワシントン大学(University of Washington、ワシントン州)の生物学主任講師であるスコット・フリーマン氏(Scott Freeman)を中心とする研究グループは、米国科学財団(National Science Foundation:NSF)からの助成を受給して、大学学部課程のSTEM科目の授業において、教授法別に見た落第者数の割合に関する研究を実施した。フリーマン氏らは、STEM全領域における大学学部課程の授業に関する研究約640件の中から、①比較する学生グループの能力が同等、②同一の指導者または指導者グループによる授業、③成績評価のための試験が全く同じであるか同じ質問群から抽出した質問を使用、などといった基準に適合した研究225件の結果を分析し、従来の講義中心型授業と能動的学習型授業との間で、落第者数の割合を比較した。その結果、講義中心型授業の場合、受講生の34%が落第するのに対し、能動的学習型授業の場合は、落第する受講生の割合は22%と、顕著な格差があることが明らかになった。同研究結果をSTEM分野の専攻を希望する全米大学の学部生約700万人に適用すると、講義中心型授業では238万人の学生が落第する一方で、能動的学習型授業では落第者数は154万人に留まり、84万人の学生が希望通りにSTEM分野の専攻を継続できる計算となる。さらには、能動的学習型授業受講生の試験結果は、講義中心型授業受講生の結果を平均6%上回り、これは成績評定をBプラス(B+)からAマイナス(A-)といったように、半ポイント上昇させることになるという。大統領科学技術諮問委員会(President’s Council of Advisors on Science and Technology:PCAST)は「STEM専攻学生を年間100万人追加」することを提唱しており、この目標達成のためにも大学教員の工夫が期待される。

URL1: http://www.nsf.gov/news/news_summ.jsp?cntn_id=131403&WT.mc_id=USNSF_51&WT.mc_ev=click

地域 北米
アメリカ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育、質の保証