【ニュース・アメリカ】大学出願での大学進学適性試験結果の提出義務付け、才能ある学生の見極めに失敗する可能性があるとの報告書

 
ワシントン大学ボセル校(University of Washington at Bothell)在籍管理担当副総長補佐のスティーブン・シバーソン氏(Steve Syverson)らは2018年4月26日、大学出願書類において、SATやACTなどといった大学進学適性試験の点数提出を義務付ける場合と任意にする場合とで、入学する学生の大学進学適性を比較した研究報告書「進学の定義付け ~試験の任意化がどのように機能するか~(Defining Access: How Test-Optional Works)」を発表した。
 
本研究は、試験結果の提出を任意とする4年制大学28校における出願者95万5,774人のデータを、試験結果の提出を義務付ける大学のデータと比較したものである。その結果、大学進学適性試験は、大学で成功する可能性のある才能ある出願者の見極めに失敗し、試験結果を提出しなかった出願者は、結果的に賢明な判断をしていることが明らかになった。
 
主な結果は以下の通り。

  • 試験結果提出を任意とした翌年の出願者数は、私立大学で平均29%、公立大学で同11%増加。
  • 大学によって差はあるものの、試験結果提出の任意化により、黒人・ラテン系学生の出願者・合格者数が増加。
  • 試験結果提出を任意とした大学への出願者の約4分の1は、大学進学適性試験結果を提出せず。この割合は、マイノリティ学生で高い傾向があり、黒人学生の35%が試験結果を提出しなかったのに対し、白人学生では18%のみ。
  • 試験結果を提出しなかった学生の合格率は提出者の合格率をやや下回るが、合格者が入学する割合は高い。
  • 大学1年の成績は、試験結果を提出しなかった学生が提出者をやや下回るものの、卒業率はほぼ同等、もしくは、提出者をやや上回る。

 
なお、本報告書は、「DEFINING ACCESS : How Test Optional Works」(PDF:3.52MB)からダウンロード可能。
 

2018年4月27日
 
Inside Higher ED:Making the Case for Test Optional

 

地域 北米
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