米国科学工学医学アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)は2月14日、報告書「科学・技術・工学・数学・医学関連組織における人種差別反対・多様性・公平性・包摂性の振興(Advancing Antiracism, Diversity, Equity, and Inclusion in STEMM Organizations)」を発表し、STEMM(science, technology, engineering, mathematics, and medicine)分野で多様性・公平性・包摂性を向上させるには、単に少数派人種・民族グループからの参加者数を増やすだけでなく、白人が非白人よりも優遇されるという組織の文化・環境の転換に向けた行動をとるべきと提言した。本報告書は、組織は改善に向けて幹部・チーム・個人レベルという多層的アプローチで問題に取り組み、各レベルで実行可能な方針・実践方法を特定すべきと提案している。
各レベル別での具体的提案事項は以下の通り。
- 個人レベル:調査結果から、STEMM分野の組織内で採用、合否判定、昇進・昇給、大学終身雇用資格、助成付与などの決定に関与する役職に就く者は白人男性である確率が高く、それに伴い関連役職に就く者の決定に白人優先を維持する傾向があることが判明。この偏りを是正するために、組織・部署において同役職に就く者の意思決定に関するデータを収集し、人種・民族に基づく偏りのパターンを特定するなどといった説明責任システムを導入することを推奨。
- チームレベル:研究活動において、多様性に富んだチームはパフォーマンスが高いとされているが、単に人数的に多様な人種・民族で構成されるチームを編成するのではなく、全てのチームメンバーが精神的に不安なく参加できることが重要。従って、主任研究員や研究グループリーダーなどといったチームの管理者は、少数派人種・民族グループに属するメンバーも支持・尊重されるような望ましい環境を中心としたチーム規範を意図的に創出することが必要。
- 組織・幹部レベル:組織の文化・環境を反映した規範・価値観・方針・実践などを再建するために、組織が複数レベルで対応すべき課題を設定。また、合否判定、採用、給与、予算、昇進などといった重要事項に関連する評価基準・決定過程などを見直し、個人レベルでの偏り・差別や、人種・民族的少数派グループに悪影響を及ぼす組織的プロセスを改善するための措置を施行。
なお、本報告書は、こちら(外部サイト)から閲覧可能。
2月14日
National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine:
Higher Ed Institutions, STEMM Organizations Should Act to Change Cultures to Support Inclusive Excellence and Dismantle Barriers Created by Systemic Racism and Implicit Bias
地域 | 北米 |
国 | アメリカ |
取組レベル | 大学等研究機関レベルでの取組 |
大学・研究機関の基本的役割 | 教育 |
人材育成 | 学生の多様性 |