教育技術・データ科学企業のシビタス・ラーニング社(Civitas Learning)は、高等教育の現状を分析した報告書「コミュニティの洞察(Community Insights)」を発表した。
本報告書は、2年制大学30校と4年制大学23校の学生30万人超のデータに基づく分析結果をまとめたもので、これによると、学位を取得せずに大学を中退する学生の約20%は、学位取得に必要な単位数の75%以上を既に取得しており、約10%は90%以上の単位を取得しているという。
同社共同創業者で最高学習責任者(chief learning officer)のマーク・ミリロン氏(Mark Milliron)は、残り僅かな単位を取得せずに中退する学生は、不十分な学資援助や家族の健康問題などといった様々な問題に直面している可能性があり、低コストで個々の学生の状況に合わせたサポートを提供することにより、これらの学生の卒業率が飛躍的に向上するとして、2年制大学のデルマー大学(Del Mar College、テキサス州)で、1年間に卒業者数が約36%増加した例を挙げた。
また、ミリロン氏は、学生が他大学に編入する際に、既に取得した単位が編入先で無効扱いとなる問題を指摘し、中退の理由となっている可能性があるとした。さらに、授業料・手数料は学資援助で賄うことができても、生活費負担が厳しいことも原因として考えられており、ニューヨーク市立大学ラガーディア・コミュニティカレッジ(LaGuardia Community College of the City University of New York)学長のゲイル・メロウ氏(Gail Mellow)は、学資援助を受ける学生であっても、生活に必要なコストとして年間約7,000ドルを自己負担していると指摘している。
なお、本報告書は、「COMMUNITY INSIGHTS Emerging Benchmarks & Student Success Trends From Across The Civitas」(PDF:1.15MB)からダウンロード可能。
2018年5月9日
Inside Higher ED:Focusing on the Finish Line