【ニュース・アメリカ】大学における学生の精神衛生治療、LGBTQ学生に対する治療期間が最も長い一方で、最も多い症状はうつ病・不安症

 
ペンシルバニア州立大学(Pennsylvania State University)大学精神衛生センター(Center for Collegiate Mental Health:CCMH)は、2017年年次報告書を発表した。
 
本報告書は、2016-17学年度に、大学約150校の学内施設において精神衛生の治療を受けた学生16万1,000人以上の臨床治療予約120万件超を分析したものである。これによると、主な不安が性同一性とする学生が受けるカウンセリング回数が平均10.6回、性的指向に関する不安を表明する学生が受けるカウンセリング回数が平均8.4回で、性的マイノリティ(LGBTQ)学生に対するカウンセリング治療が最も長期に及ぶことが明らかにされた。
 
しかし、これらの学生が受けるカウンセリングが全体に占める割合は0.4~0.5%と低く、うつ病を訴える学生へのカウンセリング治療が全体の約19%、不安症の学生へのカウンセリングが全体の約23%であった。うつ病もしくは不安症の学生が受けるカウンセリングの回数は、平均6.5回とされている。
 
CCMHディレクターで同大学カウンセリング・心理学サービス上級ディレクターのベン・ロック(Ben Locke)氏は、多くの大学カウンセリングセンターの資金がうつ病及び不安症の治療に使用されることから、大学は、より多くの学生に対応できるように最適な手段を検討すべきとし、カウンセリングセンターの負担を軽減するために、学生が症状を認識し、その症状にうまく対応するための方法を学べるよう、支援すべきと提言した。
 
主な分析結果は以下の通り。

  • 自傷行為を考えたことのある学生のカウンセリング回数は平均約8回で、自殺を考えたことのある学生に対するカウンセリング回数は平均7.5回。
  • 自殺を意図せずに自傷行為に及んだ学生数は2010年以降継続して増加しており、精神衛生治療を受けた学生全体の中で、故意に自傷行為に及んだと申告する学生が占める割合は、2010-11学年度には21.8%であったのに対し、2016-17学年度には27%に上昇。
  • 自殺を試みて治療を受けた学生が全体に占める割合は、2010年~2017年の間に8%から10%に上昇。
  • CCMHによる調査に参加する大学数は、2010-11学年度の97校から2016-17学年度には147校に増加し、それに伴い、データセットのベースとなる学生数も8万2,611人から16万1,000人に増加。

 
なお、本報告書は、「Center for Collegiate Mental Health」(PDF:10.69MB)からダウンロード可能。

 
2018年1月17日
 
Inside Higher ED:Queer Student Counseling
 

地域 北米
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