【ニュース・アメリカ】大不況により4年制大学におけるテニュアトラック教員採用が25%減少し、特に公立大学・研究大学で非白人採用が不均衡に減少

 
社会学系学術誌の「ソシオロジカル・サイエンス」で発表された研究論文「危機と不確実性:大不況は新たな大学教員の多様性を縮小したか?」によると、1999年以降に発生した大不況時に、4年制大学では終身雇用となるテニュアトラック教員の採用が25%減り、特に公立大学及び研究大学において、非白人教員の採用が不均衡に減少したという。このため、同論文では、新型コロナウイルス感染症パンデミックに伴い、教員の多様性が低下しないように、大学は対策を講じるべきと提言している。1999年~2015年のテニュアトラック教員採用に関する連邦政府データを大不況前(1999年~2007年)、大不況中(2007年~2011年)、大不況後(2011年~2015年)に分けて分析した主な結果は以下の通り。

  • 大不況前のテニュアトラック教員採用数は年間平均1万3,535人。2007年~2009年には25%減少したが、内訳は、公立大学で31%減であったのに対して私立大学では14%減。また、2015年の採用者数を2007年と比較すると、公立大学では11%減で私立大学では15%減。
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  • 採用傾向を「白人」「黒人」「ヒスパニック系」「アジア系」「男性」「女性」で比較すると、大不況前は公立大学で非白人グループの採用が増加した一方、白人女性は横ばいで白人男性は減少傾向。この傾向が継続された場合、2007年~2009年の新規採用は、黒人3~5%増、ヒスパニック系4~6%増、アジア系7~12%増、白人3%減~1%増となる見込みであったが、実際は、黒人男女の採用数は45%減、ヒスパニック系男女35%減、アジア系男性23%減、アジア系女性35%減、白人男女31%減。
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  • 新型コロナウイルス感染症が教員採用に及ぼす影響を予測するのは時期尚早。但し、パンデミックから女性教員がより大きな影響を受けて不利な立場にあることが判明しているため、新規採用において格差が生じないように大学が対策を講じることが必要。

 
なお、本論文は、こちら からダウンロード可能。

 
10月18日


Inside Higher ED: Faculty Diversity Fell in Time of Crisis


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アメリカ
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