【ニュース・アメリカ】国土安全保障省、2020年秋学期に留学生の米国入国・滞在を制限する新規則を撤回

 
 国土安全保障省(Department of Homeland Security)は、7月6日に移民税関捜査局(Immigration and Customs Enforcement:ICE)
が発表した、2020年秋学期の講座がオンライン受講のみのものである場合、学生ビザを保有する留学生の米国入国及び米国滞在を禁止する
との新規則を撤回した。

 
 これは、ハーバード大学(Harvard University、マサチューセッツ州)及びマサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute
of Technology:MIT)が7月8日に提起した訴訟での要求を受け入れたもので、これら2大学以外にも、コロンビア特別区を含む20州以上の
州政府や、大学二十数校がICEの方針変更を阻止するために訴訟を提起していた。

 
 通常の連邦規則では、留学生に対し、1学期あたりに受講可能なオンライン講座を1クラスに制限しているが、ICEは、新型コロナウイルス
感染拡大を受けて、緊急事態継続期間中は、複数のオンライン講座の受講を許可するとの方針を2020年3月に発表していた。

 
 国土安全保障省は、新規則撤回前の7月13日に、フルタイムでのオンライン講座受講を留学生に認めることにより、米国外を含めて
居住地に過剰な柔軟性を与えるほか、米国内で学業以外の活動に取り組む可能性があるとして、同規則の正当性を裁判所に主張していた。
これに対し、ハーバード大学とMITは、政府は同規則によって学生及び大学が受ける代償を考慮していないと批判していた。

 
 なお、両大学による訴訟を含め、ICEによる指令を阻止するための訴訟最低8件が提起されており、これには、コロンビア特別区及び
17州の政府が合同で提起した訴訟、カリフォルニア州・ニューヨーク州・ワシントン州政府がそれぞれ別々に提起した訴訟、
ジョンズホプキンス大学(Johns Hopkins University、メリーランド州)が単独で提起した訴訟、アリゾナ州・カリフォルニア州・
オレゴン州・ワシントン州の大学合計20校が共同で提起した訴訟、カリフォルニア州の大学院留学生グループが提起した訴訟などが含まれる。
この他、大学数百校と高等教育団体70組織以上が、ハーバード大学とMITによる訴訟を支持する法廷助言書を提出している。

 
7月15日
 


Inside Higher ED: Government Rescinds International Student Policy

地域 北米
アメリカ
取組レベル 政府レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育
人材育成 入試・学生募集、学生の多様性