【ニュース・アメリカ】営利大学による連邦学資援助受給額上限を定めた「90/10ルール」、「GI Bill」の下での学資援助が法の抜け穴に

教育省(Department of Education)は2016年12月21日、2014~2015学年度に営利大学が受給した連邦学資援助(Federal Student Aid:FSA)が大学収入全体に占める割合を提示した報告書「営利大学収入割合報告書:学年度終了日が2014年7月1日~2015年6月30日(Proprietary School Revenue Percentages Report for Financial Statements:with Fiscal Year Ending Dates Between 07/01/14–06/30/15)」を発表した。これによると、営利大学17校が、高等教育法第4条(Title IV)の下で支給される連邦学資援助受給額の上限を大学の収入全体の90%未満とすることを定めた「90/10ルール」に準拠していないことが明らかになった。このうち2校は、同ルールに2年連続で準拠しておらず、これらの大学は、それぞれの大学の2015~2016学年度開始日から最低2年間、連邦学資援助の受給資格を喪失した。残りの15校は、2015~2016学年度は連邦学資援助を継続して受給することができるが、それ以降に関しては2015~2016学年度の実績次第となる。また、「90/10ルール」には、退役軍人省(Department of Veterans Affairs)と国防総省(Department of Defense)から支給される復員軍人援護法(GI Bill)の下での学資援助が含まれないという法の抜け穴があり、これを利用した営利大学が精力的に退役軍人に対する入学勧誘を進めていることも問題点として挙げられた。連邦学資援助と「GI Bill」の下での学資援助を合計した連邦政府からの学資援助額が大学の収入全体の90%を超える営利大学は約200校あり、さらには、連邦政府からの学資援助額が占める割合の上限を同ルール制定当初の85%に戻した場合、563校がこの上限を上回る額を連邦政府から受給していることになり、受給総額は126億ドルになることが明らかになった。このような営利大学の動きに対し、ジョン・キング教育長官(John B. King Jr.)とテッド・ミッチェル教育次官(Ted Mitchell)は、国家のために犠牲を払った軍人に対する略奪行為であると非難し、法の抜け穴を埋めることが必要と発言した。

 

なお、本報告書は、以下よりダウンロード可能。
Department of Education:Proprietary School 90/10 Revenue Percentages[EXCEL版]

 

Department of Education:New Analysis Finds Many For-Profits Skirt Federal Funding Limits

地域 北米
アメリカ
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