【ニュース・アメリカ】厚生省、NIH研究者による胎児の組織を使用した研究実施を今後禁止

 
厚生省(Department of Health and Human Services)は2019年6月5日、国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)に勤務する政府科学者による胎児の組織を使用した研究実施を今後は許可しないことを発表した。
 
2018年には、人工中絶による胎児の組織を使用したNIH内部研究に対し、連邦資金約3,100万ドルが拠出されていた。また、厚生省は、大学研究者による胎児の組織を使用した研究に関しても、NIH助成受給を希望する場合、今後は倫理諮問委員会が提案書を審査することになるとした。
 
今回発表された新方針は、大学等のNIH外の研究者が現在実施中のNIH助成プロジェクト約200件に影響を及ぼすことはないものの、今後の助成更新もしくは新たな助成申請に適用されることになる。さらに、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(University of California, San Francisco:UCSF)は、胎児の組織を使用して人間のような免疫システムを持つマウスを作成し、それを使用してHIV治療薬の試験を行う研究に取り組んできたが、この研究に対してNIHが年間約200万ドルを支給するという、長年に亘る契約も打ち切ることを明らかにした。
 
厚生省は、自然死による人間の命の尊厳重視は現政権の最優先事項の1つとしているが、UCSF総長のサム・ホーグッド(Sam Hawgood)氏は、政治的動機に基づく近視眼的対応で、健全な科学に基づくものではないと批判している。
 
2019年6月5日
 
Science:Trump administration restricts fetal tissue research

 

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