【ニュース・アメリカ】南フロリダ大学教授ら、大学院STEM課程の合否判定においてGRE結果が偏重され過ぎと指摘

南フロリダ大学(University of South Florida)物理学准教授のケイシー・ミラー氏(Casey Miller)と、バンダービルト大学(Vanderbilt University、テネシー州)及びフィスク大学(Fisk University、テネシー州)所属の物理学教授であるケイバン・スタッサン氏(Keivan Stassun)は、「ネイチャー(Nature)」誌の12日付掲載記事(URL1)にて、米国大学院入学標準試験であるGREに関する記事「不合格となる試験(A test that fails)」を執筆し、米国の大学院では、STEM課程の入学者選考委員会が合否判定においてGRE結果を偏重し過ぎており、その結果、女子学生やマイノリティ学生の進学機会を奪っていると主張した。両氏は、GREの数量的設問セクションにおいて、女子学生は男子学生と比較すると物理科学の点数が平均80点低く、黒人学生の点数は白人学生の点数を平均200点下回っていることを踏まえた上で、例えば、大学院の入学者選考委員会が、800点満点の同セクションにおいて点数が700点未満の学生を不合格とした場合、それ以外の面では合格に匹敵する女子学生及びマイノリティ学生を排除していることになると警告している。更に両氏は、GREの得点とSTEM分野における最終的な成功との間に強い相関関係はないとの調査結果を紹介している他、科学分野の修士課程在学生の博士課程への進学を指導する「フィスク・バンダービルト・プログラム(Fisk-Vanderbilt program)」に参加する学生67人のうち、85%はGREの数量的設問セクションの点数が700点未満であるにもかかわらず、博士号取得または取得に向けて順調である学生の割合が全体の81%と、全米平均の50%を大きく上回るとしている。また、GREを運営する教育試験サービス社(Educational Testing Service:ETS)も、GREの結果は、面接や過去の学業成績などに加える補助的な判断要素であり、同試験は合否判定の指標とするために作成されたものではないとしている。

URL1: http://www.nature.com/naturejobs/science/articles/10.1038/nj7504-303a
URL2: https://www.insidehighered.com/news/2014/06/16/stem-graduate-programs-place-too-much-emphasis-gre-scores-physicists-say

地域 北米
アメリカ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育
人材育成 入試・学生募集