【ニュース・アメリカ】内務省、連邦大陸棚の90%以上を海洋掘削のためのリース対象とする新たな5年計画を発表

 
内務省のライアン・ジンキ(Ryan Zinke)長官は2018年1月4日、米国におけるエネルギー優位性を確保するために、大西洋・太平洋・北極海におけるさらなる掘削を容認する新たな5年計画を発表した。
 
ジンキ長官は、新計画では連邦大陸棚(outer continental shelf:OCS)の90%以上をリース対象とすることを明らかにし、2019年~2024年の間に47件のリース契約締結を計画している。本リース計画には、アラスカ沿岸19件、太平洋地域7件、メキシコ湾岸12件、大西洋地区9件が含まれる。
 
ジンキ長官による発表は、産業界に不必要な負担を負わせるとして、海洋掘削安全装置に関する規則の緩和をトランプ政権が提案してから1週間以内に行われたことになる。
 
本計画は、2017年1月にオバマ政権下で制定された2022年までの5年計画を覆すものとなり、環境保護団体及び新たな5年計画反対派は、これらの内容を批判している。国際海洋環境保護団体「オシアナ(Oceana)」でキャンペーン・ディレクターを務めるダイアン・ホプキンス(Diane Hoskins)氏は、ジンキ長官が発表した計画は、広がりつつある海洋掘削反対派を無視した過激な計画で、保護条項を縮小した掘削促進は災害を招く処方箋と強く批判した。
 
一方、同計画を支持する湾岸経済存続チーム(Gulf Economic Survival Team)エグゼクティブディレクターのローリー・ルブラン(Lori LeBlanc)氏は、米国がエネルギー生産の世界的リーダーとなる可能性に向けた一歩であるとし、信頼性あるエネルギー生産を継続するために、天然資源を最大限に活用する機会を提供する他、高給の雇用を多数創出し、米国に経済安定性を提供すると発言した。
 
なお、「大西洋岸保護のための事業同盟(Business Alliance for Protecting the Atlantic Coast)」の両方で会長兼CEOを務めるフランク・ナップ(Frank Knapp)氏は、同計画に関し、米国東海岸に拠点を置く多数の企業が反対しているとし、人工地震を発生させるエアガンの使用許可が発令されれば、莫大な数の訴訟が提起されることになると警告している。
 
2018年1月4日
 
Science:Trump proposes vast expansion of offshore drilling
 

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アメリカ
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