バージニア大学（University of Virginia）社会学・教育学教授のジョシパ・ロクサ（Josipa Roksa）氏とウィスコンシン大学マディソン校（University of Wisconsin－Madison）に所属する研究者のピーター・キンスリー（Peter Kinsley）氏は、低所得層家庭学生の大学における成功の要因に関する研究論文「低所得層学生の学術面での成功を促進する家族による支援の役割（The Role of Family Support in Facilitating Academic Success of Low－Income Students）」を、学術誌「高等教育研究（Research in Higher Education）」で発表した。

ロクサ氏とキンスリー氏は、ウィスコンシン州内の4年制大学8校において学資援助を申請した大学1年生728人を対象とした調査を実施し、学資援助、家族からの精神的支援、大学での取り組みに関する質問をし、これら3つの要素が学術面での成功にどのように関連するかの情報を収集した。
その結果、家族から精神的支援を受けている学生は、成績平均点（grade point average：GPA）が3.0以上である確率が19％高い他、大学初年度に合計24単位以上を獲得する確率が19％高く、大学2年目を修了する確率が24％高いことが明らかになった。一方、家族からの金銭的支援は、これらのいずれにも関連性がないことが明らかにされた。また、家族からの精神的支援は、大学への所属意識を高める上でも好影響を与えることが判明したという。ロクサ氏は、低所得層学生の在籍率を高め、支援を強化するためには、大学は家庭の経済・社会的地位だけで判断すべきではなく、年間を通して家族による協力を得るべきと提言している。

なお、本論文の要約は、以下より閲覧可能。
Springer Link：The Role of Family Support in Facilitating Academic Success of Low－Income Students

2018年7月11日

Inside Higher ED：Parental Support Key to Student Success