【ニュース・アメリカ】ロイス国務次官補、米国は中国人留学生を歓迎するとしながら、スパイ行為・知的財産窃盗を阻止するための対応を米国大学に要求(7月31日)

マリー・ロイス(Marie Royce)教育・文化担当国務次官補は7月30日、国務省(Department of State)の年次イベント「エデュケーションUSA(EducationUSA)」フォーラムで講演した。ロイス次官補は、米国は中国人留学生を歓迎するとし、2018年1年間で米国経済に150億ドル貢献したことを始め、友人関係の構築、価値の共有、ネットワークの構築などの重要性に言及した。
 
その一方で、米国大学は、中国人学生が,自国出身学生とだけでなく、米国人学生及び他国からの留学生と交流し、真の米国の姿を体験する機会の提供を改善すべきと発言した。また、中国ソーシャルメディアが、米国に関する偏った情報を通して中国人に提供する不正確な米国像や、中国政府による米国で学ぶ中国人留学生の言論の自由の妨害などに対しては、これらを強く批判した。
 
さらに、留学生・交換研究者による知的財産窃盗に関しては、違法行為を働く学生・研究者の割合はごく僅かとしながら、合法な学術活動を超える行為を中国政府から強要させられることがないように徹底する必要があると大学に要求した。同フォーラムに参加した米国高等教育関係者の1人は、ロイス次官補が講演で話した米国在住の中国人像は、虚偽とは言えないものの内容を歪曲して伝えているとし、トランプ政権の常套手段と強く批判した。
 
また、アリゾナ大学(University of Arizona)高等教育研究センター(Center for the Study of Higher Education)教授のジェニー・リー(Jenny Lee)氏は、ロイス次官補による中国人留学生に対する懸念事項は的を得ていないところがあると指摘し、同次官補による講演は、中国人留学生はスパイ行為と知的財産窃盗を働く可能性のある予備軍とした、トランプ政権による人種差別的見解を強化しただけであると批判した。

 
Inside Higher ED: A Welcome Message, or a Warning?

地域 北米
アメリカ
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
大学・研究機関の基本的役割 教育
国際交流 国際化