【ニュース・アメリカ】フェイスブック社とスポンサー付き学術研究契約を締結する大学数は増加するも、具体的研究内容は不透明

フェイスブック社(Facebook)との間で「スポンサー付き学術研究契約(Sponsored Academic Research Agreement:SARA)」を締結する大学数は2016年末の16校から、現在は合計30校に増加している。しかし、これらの大学はいずれも同契約の下での具体的研究内容を明らかにしていない。

 

SARA締結大学は、同社の「ビルディング8(Building 8)」と呼ばれる秘密主義の部門が主導する技術開発に資金提供を申請できるが、フェイスブック社によると、「ビルディング8」部門は不可能と考えられる製品の開発をできる限り迅速に実施する部門で、拡張現実(Augmented Reality:AR)、仮想現実(Virtual Reality:VR)、人工知能(Artificial Intelligence:AI)、接続性などが研究対象分野に含まれ、通常は9~12カ月を要する大学研究者との共同研究構築を数週間で済ませるという。また、SARAの目的の1つは、同社の研究グループと学術コミュニティとの間での継続的会話の土壌作りとされており、最近も、SARAネットワークを利用して、同社が抱える喫緊の研究問題に対する解決策の助言を要請している。

 

同社は将来的には、技術的関心領域を概説した内部文書をSARA締結大学と共有する予定である。現在SARA契約の下で実施されている研究例には、思考を文字に転換するための脳とコンピュータとの間のインターフェース開発や、皮膚を通して音を聞く触覚研究などが含まれる。なお、同社とのSARA締結大学の増加を受け、バージニア大学(University of Virginia)メディア研究教授のシバ・ベイディアナサン(Siva Vaidhyanathan)氏は、大学に対し共同開発する技術に関して慎重に検討すべきで、パートナーシップの透明性を高めるべきと警告している。

 

2018年5月21日

 

Inside Higher ED:Universities Quietly Collaborate with Facebook

地域 北米
アメリカ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 研究