【ニュース・アメリカ】トロント大学研究者ら、著名学術誌のピアレビューにおいて画期的な研究論文が掲載却下されている可能性を指摘

トロント大学経営大学院(Rotman School of Management at the University of Toronto、カナダ)所属のカイル・サイラー氏(Kyle Siler)らは、学術誌における質の高い科学研究論文掲載のための審査手段として導入されているピアレビューにおいて、画期的な研究論文の掲載が却下されている可能性があるとの論文(URL1)を、米国アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America :PNAS)上で発表した。本論文は、非常に著名な医学学術誌であるアナルズ・オブ・インターナル・メディシン誌(Annals of Internal Medicine)、ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical Journal)誌、及びランセット(The Lancet)誌の3誌に2003年と2004年に提出された論文原稿のデータセットを調査したものである。この結果、当該機関に提出された論文1,008本のうち946本が却下され、却下された論文のうち722本はピアレビューの段階にまで進まなかったことが明らかにされた。また、これらの却下された論文のうち、757本はその後別の学術誌に掲載されており、サイラー氏らはこれら757本の論文が他の論文に引用された数を調査した。その結果、大半の論文に関しては、ピアレビューの評価点が低い論文の引用数は少なく、また、ピアレビュー前に却下された論文の引用数はピアレビュー後に却下された論文よりも引用数が少ないことが判明したが、一方では、非常に引用数の多い論文14本はこれら3誌により掲載が却下されたもので、このうち12本はピアレビュー前に却下されていたことも明らかとなった。同氏らは、ピアレビューは審査官が自己の研究に似通った内容を好む傾向があるなど、バイアスが入る可能性があるとしている。

URL1: http://www.pnas.org/content/early/2014/12/17/1418218112
URL2: http://phys.org/news/2014-12-peer-breakthrough-manuscripts.html

地域 北米
アメリカ、その他の国・地域
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 研究