【ニュース・アメリカ】トランプ政権、マイノリティ優遇措置により白人出願者を差別した大学を調査・提訴する準備を進める

トランプ政権は、司法省(Department of Justice)公民権部門に対し、大学入学審査時におけるマイノリティ優遇措置によって、白人出願者への差別があったかどうかの調査、さらには必要に応じて提訴を行うよう指示したことが明らかになった。これは、ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)紙が入手した公民権部門向けの内部文書により明らかにされたもので、新しい「大学入学審査における、人種に基づく意図的な差別に関連する調査・提訴」プロジェクトに参加希望の弁護士を募集しているとの内容である。

 

発表された文書によると、本プロジェクトは、通常、学校・大学関連の業務を取り扱う専門職員が所属する教育機会局(Educational Opportunities Section)ではなく、トランプ政権の政治任用官が所属する部署によって、黒人・ラテン系学生などといった、一般的に不利な立場にある学生を優先して入学させる優遇措置プログラムを対象とした調査が進められるものと推測されている。これは、トランプ大統領及びジェフ・セッションズ(Jeff Sessions)司法長官の下で、同性愛者の権利や警察改革などに続き、司法省公民権部門が保守的な方向に転換しつつある傾向を示すものである。今回明らかにされた内容に関し、レーガン政権及び第1次ブッシュ政権下において司法省公民権部門上級役員を務め、現在は保守系の「平等機会センター(Center for Equal Opportunity)」会長を務めるロジャー・クレッグ(Roger Clegg)氏は、白人やアジア系米国人に対する差別解消に向けた朗報とコメントしている。一方、リベラル系の「法の下での公民権のための弁護士委員会(Lawyers’ Committee for Civil Rights Under Law)」会長のクリステン・クラーク(Kristen Clarke)氏は、最も抑圧されたマイノリティを支援するという公民権部門における長年の優先事項の整合性を乱すものと批判した。

 

2017年8月1日

 

The New York Times:Justice Dept. to Take On Affirmative Action in College Admissions

地域 北米
アメリカ
取組レベル 政府レベルでの取組
人材育成 学生の多様性