【ニュース・アメリカ】トランプ大統領、非移民就労ビザ保有者による米国入国を2020年12月31日まで禁止

 
 トランプ大統領は6月22日、非移民就労ビザプログラムの下での外国人による米国入国を一時停止することを定めた「新型コロナウイルス感染症
大流行後の米国労働市場へのリスクとなる外国人入国一時停止に関する布告(Proclamation Suspending Entry of Aliens Who Present a Risk to
the U.S. Labor Market Following the Coronavirus Outbreak)」を発表した。

 
 これは、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う経済危機により失業者が多数出る中、米国人労働者の雇用機会を保護することを目的とするもので、
2020年12月31日まで非移民ビザによる米国への入国制限措置が取られる。

 
 入国停止の対象となるビザは、就労ビザ(H-1Bなど)、駐在員ビザ(L-1)や、交換訪問者ビザ(J-1)などとなるが、Jビザ利用者のうち、
大学生・教授・研究者は本大統領布告の対象外となる。

 
 また、学生ビザ(F-1)の下で米国大学を卒業した後に最高3年間米国内での就労が認められるオプショナルプラクティカルトレーニング(OPT)
プログラムに関しても、同布告の対象外である。

 
 しかし、米国大学は、外国人教員・研究者の採用にH-1Bビザを利用することが多く、コーネル大学(Cornell University、ニューヨーク州)
教授のスティーブン・イエール・レアー(Stephen Yale-Loehr)氏は、数的に大きな影響がないとしても、教育の質に影響を及ぼすとした他、
同布告に関し、高スキル外国人労働者が米国経済成長に貢献していることを理解していないとコメントした。

 
 また、公立・ランドグラント大学協会(Association for Public and Land-grant Universities:APLU)政府業務担当副会長のクレイグ・
リンドウォーム(Craig Lindwarm)氏は、H-1Bビザ発給一時停止に関し、公立大学が海外の優秀な教育者・研究者を招聘・保持することが
難しくなるとした。

 
 さらに、米国教育審議会(American Council on Education:ACE)政府関係担当ディレクターのサラ・スプライツァー(Sarah Spreitzer)
氏は、多数の大学が工学・コンピュータ科学などといった需要の高いSTEM分野の教員採用にH-1Bビザを使用していることから、重要な分野の
教員採用への影響や、留学生に与える精神的影響に対する懸念を表明した。
 
なお、同大統領布告は、こちらからダウンロード可能。
 
6月22日
 


Inside Higher ED: Trump Expands Immigration Restrictions

地域 北米
アメリカ
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