トランプ大統領は9月18日、米国政府による生物兵器防衛を強化するために、連邦15省庁と諜報機関16機関との調整を改善する戦略を、大統領覚書と報告書「2018年米国生物兵器防衛戦略（National Biodefense Strategy 2018）」を通して発表した。

これによると、国家安全保障会議（National Security Council）が生物兵器防衛政策を監督し、厚生省（Department of Health and Human Services：HHS）が実行を主導する。また、厚生長官が閣僚級運営委員会を監督し、毎年、同戦略の見直しを行うことになる。運営委員会は、生物兵器防衛に関連する全省庁にアンケート調査を行い、早ければ2020年度から予算要求を行うという。

オバマ政権下で準備・対応担当厚生長官補佐を務めたニコール・ラリー（Nicole Lurie）氏は、複雑な米国政府内で関係を繋ぐ努力をすることは賢明としながら、厚生省には以前から、生物兵器による脅威に備えて連邦政府を調整する「公衆衛生緊急医療対策事業（Public Health Emergency Medical Countermeasures Enterprise）」が存在しており、今回発表された戦略は、既存のシステムを再編成したものとコメントしている。さらに、通常は戦略計画に含まれる、具体的な実行計画や、意図した成果などが含まれていないなど、欠点を指摘している。

一方、2015年に米国生物兵器防衛計画を作成した生物兵器防衛ブルーリボン研究委員会（Blue Ribbon Study Panel on Biodefense）のエグゼクティブディレクターを務めた微生物学者のエイシャ・ジョージ（Asha George）氏は、今回発表された戦略は、完璧ではないものの、よい出発点になるとコメントしている。

なお、大統領覚書は以下より閲覧可能。

https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/presidential-memorandum-support-national-biodefense/

また、戦略報告書は以下よりダウンロード可能［PDF：919.02KB］。

https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2018/09/National-Biodefense-Strategy.pdf

2018年9月19日

Science Magazine：Trump’s biodefense plan aims to improve coordination across agencies