【ニュース・アメリカ】トランプ大統領、大学に学生の言論の自由保護を義務付け、順守されない場合は連邦研究資金喪失の可能性があるとする大統領令を発表

 
トランプ大統領は2019年3月21日、大学に対して学生の言論の自由を守ることを義務付け、順守されない場合は連邦研究資金を喪失する可能性があることを定めた大統領令に署名した。
 
本大統領令の対象となる連邦資金は、国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)、米国科学財団(National Science Foundation:NSF)、エネルギー省(Department of Energy)、米航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration:NASA)などを含む、研究関連連邦省庁12省庁からの研究資金に限定され、学資援助資金は対象外である。
 
大統領は、同大統領令署名に先立ち、連邦資金は米国憲法第1条に反する大学の補助金として使用されるべきではないと発言した。但し、同大統領令を執行する具体的手段の詳細は不明確である。
 
米国大学教授協会(American Association of University Professors)エグゼクティブディレクターのジュリー・シュミッツ(Julie Schmid)氏は、同大統領令に関し、現時点では何の役に立つかが不明としながら、大統領による発言に関し、学生と教員の間の溝を助長し、教授に対して研究資金がリスクに晒されるとの明確なメッセージであると共に、政治的洗脳と抑圧に対する不安を煽るものとの懸念を表明している。
 
また、公立・ランドグラント大学協会(Association of Public and Land-Grant Universities)会長のピーター・マクファーソン(Peter McPherson)氏は、全く不必要な大統領令で、公立大学は既に憲法第1条を順守しているとの声明を発表した。一方、ペンシルバニア大学(University of Pennsylvania)に所属する政治哲学者のシガル・ベンポラス(Sigal Ben-Porath)氏は、大学における言論の自由にさらなる規制を計画する予兆と受け取ることもでき、政治的目的の可能性があるとしている。
 
なお、同大統領令は、「President Donald J. Trump is Improving Transparency and Promoting Free Speech in Higher Education」で閲覧可能。
 
2019年3月21日
 
Nature:Universities spooked by Trump order tying free speech to grants
 

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