【ニュース・アメリカ】デボス教育長官、オバマ政権下で発表された大学における性的違法行為への対応に関する指針を撤廃して新指針を発表

教育省(Department of Education)のベッツィー・デボス(Betsy DeVos)長官は2017年9月22日、大学構内で発生した性的違法行為疑惑の解決・裁定において、連邦高等教育法第9条(Title IX)の下で定められた要件に準拠する手段に関する新たな指針を大学向けに発表した。

 

これは、オバマ政権下で2011年と2014年に発表された指針を撤廃するものであるが、撤廃された指針は、被害者擁護団体が、被害者保護において不可欠と主張していたものである。
教育省公民権局(Office for Civil Rights)は、大学における性的違法行為に対応する連邦規則が最終的に制定されるまでの間、今回発表された指針を利用して大学によるTitle IXへの準拠を評価することになる。新指針は、事件調査において各大学が独自で証拠基準を設定し、調停を含む非公式な解決策を追求し、懲罰に対する上訴手続きを策定することを認めている他、被疑者に対する保護に関する文言が含まれており、性的違法行為と闘いながら、全学生を公平に扱う内容となっている。
2011年にオバマ政権下で発表された指針は、被疑者に対する適正手続保護が不十分として、連邦議会共和党議員等から批判を受けていた。一方で、被害者擁護団体は、今回の現行指針撤廃と新指針発表に関し、被害者よりも被疑者の保護に重点を置いた裏切り行為と批判している。

主要な変更点は以下の通り。

  • 旧指針では、調査結果に対する証拠提出負担を軽減する証拠の優越基準を大学が採用することを明記していたのに対し、新指針では、証拠の優越基準もしくは明確且つ説得力のある証拠基準のいずれかを適用することが可能。
  • 旧指針では、Title IX調査が完了するまでの期間に関し、通常は通報後60日以内で、複雑な事例ではさらに長期を要することがあると記載していたが、新指針では、調査を完了すべき特定の時間枠を設定しないことを明記。
  • 大学は、被害者・被疑者の両方、もしくは、被疑者に対してのみ、裁定への不服申立手続方針の設定を選択することが可能。
  • 大学が適切と判断する場合、調停などといった非公式な解決策を促進することが可能。

2017年9月25日

 

Inside Higher ED:New Instructions on Title IX(新指針PDFあり)

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