【ニュース・アメリカ】キャリア初期研究者の約半数、主任研究員に代わってピアレビューを行う「ゴーストライティング」を経験(11月1日)

 
マウント・ホリヨーク大学(Mount Holyoke College、マサチューセッツ州)生物科学部助教のレベッカ・リジェク(Rebeccah S Lijek)氏らは、ピアレビューの現状に関する研究結果をまとめた論文「研究文化 ~論文原稿のピアレビューにおけるキャリア初期研究者による共同レビューとゴーストライティング~(Research Culture: Co-reviewing and ghostwriting by early-career researchers in the peer review of manuscripts)」を、オープンアクセス科学誌「イーライフ(eLife)」で10月31日に発表した。

 
本研究は、大学院生・ポスドク研究員など、キャリア初期研究者(early-career researcher:ECR)約500人を対象としたオンライン調査の結果に基づくものである。これによると、回答者の約半数は、論文原稿レビューの依頼を受けたレビュアー(主に指導教官)の代わりにレビューを行う「ゴーストライティング」を行ったことがあるという。

 
「ゴーストライティング」は、レビューの依頼を受けた研究者と共に、実際にレビューを行ったECRの氏名もレビュアーとして掲載される「共同レビュー」とは異なり、実際にレビューを行ったECRの氏名は発表されないため、ECRの働きが本人の実績に加えられることはない。

 
「共同レビュー」に関しては、本調査回答者の95%はECRにとって有益とし、73%は倫理的な訓練の1つと回答したのに対し、「ゴーストライティング」に関しては、81%が非倫理的と回答し、同じく81%は、学術誌で共同レビュアーの身元を明らかにすることは価値があるとした。その他の主な結果は以下の通り。

  • 調査に参加したECRの約46%は、主任研究員(PI)の代わりに論文原稿のレビュー・共同レビューをECRが行ったことを、PIが学術誌編集者に伝えなかったことがあると回答。
  • 正式なレビュアーではないピアレビュープロセスへのかかわりの程度に関し、ECRの44%は、原稿の通読、報告書作成、PIによる校正の後で、PIの氏名のみでレビューが提出されたという経験を持つ。
  • 「ゴーストライティング」を行ったことがあるECRの中で、PIの氏名のみでレビューが提出される理由についてPIと話し合ったことがある者は全体の27%で、その際にPIは、共同レビュアー名を掲載しないという学術誌の方針や、研究界での文化などを理由として提示。
  • 論文執筆者は、ピアレビュー過程においてECRが共同レビューに参加することがよくあることを学術誌が明記して、共同レビュアーの氏名を掲載すべきと主張。

 
なお、本論文は、こちらからダウンロード可能。

 
Inside Higher ED: Ghostwriting Peer Reviews

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