【海外センターレポート・ブラジル】CNPqの危機

 
国の財政難に起因する予算不足により、国家科学技術開発審議会(CNPq)が廃止の危機にさらされている状況に対し、学術界のみならず、経済、社会的発展のための学術活動、イノベーション、研究を奨励することの重要性を認識する国内の様々な部門からの抗議が相次ぎました。また、学術活動を行うための予算の確保に向けた政府側の動きも見られました。
 
CNPqの管理機関である科学技術イノベーション通信省(MCTIC)は経済省と交渉を行い、奨学金給付に充てる資金確保のための予算の再配分を行いました。2019年9月26日付命令第10028号に、奨学金給付のための資金の解禁が定められています。(※1
 
2019年末までのCNPqの予算を補完するために必要な他の部分については、連邦議会に法案が提出され、年間予算法(連邦政府予算案)の補正予算が組まれました。(※2
 
これにより、少なくとも今年末までは、8万人を超える奨学生への奨学金給付のための予算が確保されました。この予算危機の原因としては、2018年に承認された2019年度予算案が赤字で、補正予算を組むために様々な調整が必要であったことが挙げられます。この危機を前に、科学技術イノベーション通信省は、2020年度のCNPqの活動に必要な資金を計上し、それが来年度の予算案に組み込まれ、今回のような問題は二度と起こらないことが期待されています。(※3
 
サンパウロ海外アドバイザー 二宮 正人
 
<参照リンク>

※1 PODER360:Ministério da Economia libera recursos bloqueados para CNPq pagar bolsas

※2 MCTIC:Recursos para bolsas do CNPq estão garantidos até o fim do ano

    Correio Braziliense:Bolsas do CNPq estão garantidas até o fim de 2019, diz ministro

※3 Agencia Brasil:Governo libera R$ 250 milhões para bolsas do CNPq

 

地域 中南米
ブラジル
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 予算・財政
レポート 海外センター