【海外センターレポート・ブラジル】通信教育について

 

前回のレポート(高齢者向けの高等教育について)では、ブラジルで高齢者向けに開講される大学の講座が増えていることをご報告しましたが、この動きは、高齢者によるインターネットの利用の拡大と同時に起こっています。すなわち、最新の技術や教育ツールを利用した知識のアップデートの方法としての通信教育に対する、高齢者の関心が高まっているのです。(※1)
 
通学制の学校に通えない社会人や、国内の遠隔地に住む学生など他の層にとっても受講が困難な教育プログラムが、通信教育によってよりアクセスしやすいものとなりました。
 
この動向を受け、教育省(MEC)は通信制講座の本部設置のための要件を緩和し、MECの技術者の本部への事前訪問・調査の義務は無くなり、通学制の講座を同時に開講せず通信制のみ開講することが認められました。これに伴い、通信制講座の拠点数は6583から15394に増え、133%の増加となりました。(※2)
 
この通信制講座に関する政策は、連邦政府の「Plano Nacional de Educação(国家教育計画)」の一部で、この計画は大学入学者の数を18歳から24歳までの人口の50%まで増加させることを目指すものです。全国家庭サンプル調査(PNAD)によれば、2017年時点で、大学で学ぶこの年齢層の若者は全体のわずか23.8%であることが分かりました。(※3)
 
一方、アニジオ・テイシェイラ教育研究調査院(INEP)によれば、2016年時点で通信制の大学で学ぶ人の数は150万人となっており、6年間で50%増加しました。(※4)
 
通信制講座の創設は容易になったものの、このシステムの教育の問題点は教育の質の維持であり、専門家は、継続的な評価の必要性を指摘しています。MECの大学評価の上位10位に入った通信制講座を開講している大学を見ると、その多くが私立大学ですが、サンタカタリーナ州ラヴラス連邦大学のほか、リオ・グランデ・ド・スル連邦大学、サンカルロス連邦大学、サンパウロ連邦大学、ミナス・ジェライス連邦大学など、複数の連邦大学の名前も挙がっています。(※5)
 
サンパウロ海外アドバイザー 二宮 正人
 

(※1)Central Press:Ensino superior conquista a terceira idade

(※2)フォーリャ・デ・サンパウロ紙オンライン版:Polos de ensino superior a distância crescem 133% em um ano
エスタード・デ・サンパウロ紙オンライン版:Educação a distância ainda cresce no ensino superior do Brasil

(※3)Idem, ibidem.
(※4)Idem, ibidem.

(※5)EAD:Confira as 10 melhores faculdades com ensino a distância

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