【海外センターレポート・ブラジル】起業家養成の取り組みについて

 
ブラジル国内の大学生が置かれている状況や一般社会を変革するための大学主導の取り組みとして、「Potencializa(「可能性を持たせる」の意)」と題したプロジェクトが、サンパウロ大学(USP)経済・経営・会計学部(FEA)の教授らのイニシアティブにより行われています。※1
 
このプロジェクトは、サンパウロ市のUSPのキャンパス周辺地域に住む18歳から30歳までの30人の若者を、特別なメソッドで教育・養成するというものです。教育を受けた若者が将来、地域社会に恩恵をもたらす事業を構想し、実現できる力を持った、社会変革の担い手となることが期待されています。
 
養成プログラムには、市民としての権利、組織集団についての知識、自己認識、社会起業家精神、プロジェクトマネジメントが含まれ、種々の指導・助言も行われます。30人が5つのグループに分かれ、それぞれが地域で実行するプロジェクトを立ち上げます。
 
2018年に行われたパイロットプログラムに参加した8人の若者が、その経験をもとに、プロジェクトの宣伝や、養成を受ける若者の選考の補助を行います。また、プロジェクトのカリキュラム作成、方法論の応用、授業の準備、プロジェクト実行期間中の受講生のフォロー、結果の評価にアシスタントとして関わります。授業は、Escola Aberta do Terceiro Setor(第三セクター職員向け教育機関)により録画され、同校のプラットフォームで、無料で配信されます。
 
プロジェクト実行の資金として、企画者のUSPの教授らは、USP文化・社会人教育本部の予算2万5,000レアルのほか、ブリティッシュ・カウンシル、複数の語学学校や企業からの助成金28万5,000レアルを確保しています。プロジェクトに投じられるこの資金がこの分野への初期投資となって、今後種々の類似の取り組みが生まれ、地元社会が具体的な恩恵を受け、変化を遂げていくことが期待されています。
 
サンパウロ海外アドバイザー 二宮 正人
 
※1 Jornal da USP:USP investirá R$ 310 mil em capacitação de jovens da São Remo
 

地域 中南米
ブラジル
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育
人材育成 学生の多様性、高技能職業人材の育成
社会との交流、産学官連携 地域連携、社会貢献、産学官連携
レポート 海外センター