【ニュース・中国】正式募集開始!「新設大学」がやってきた!

 
新年を迎えたが、全国各地における新大学建設ブームは依然として熱気に溢れている。

 
1月もまもなく終わろうとする時期、広州市では2023年政府活動報告の中で、広州交通大学の建設準備の加速が提起された。河南省の政治協商会議委員は省の両会(訳注:人民代表大会と政治協商会議の総称)期間中に河南伝媒(メディア)大学の設立推進の加速について語り、青島市教育局は康復(リハビリ)大学(設立準備中)が設立と第一期生募集の要件を満たしたと文書で発表した。各地で設置や積極的な検討が進められており、多くの「新大学」が誕生の途上にある。

 
「新大学」8校がまもなく募集開始

 
大学は都市の文明レベルを示す重要な指標であり、都市の発展の原動力であるとともに発展後の優位性ともなる。近年、高等教育の水準を高めるため、中国各地で新大学が雨後の筍の如く誕生している。広東省では、大湾区大学(設立準備中)、深セン海洋大学、深セン理工大学(設立準備中)などの新しい力が芽を出そうとしている。河南省では、河南電子科技大学、鄭州航空航天大学、河南交通大学といった大学の設立準備が鳴り物入りで進められ、省内の高等教育の空白を埋めることが期待されている。浙江省では、寧波東方理工大学(仮称)が既に正式着工し、当初からハイレベル大学として位置づけられ、「ボトルネック」問題の解決専門につくられた新大学として、既に雛形ができている。大まかな統計によれば、2021年以降、少なくとも42の設立準備中の新大学で重要な進展が見られ、うち8校は今年から学生募集の開始を予定している。

 
志を大空に持つ空天信息(情報)大学、湖北航空学院、大海原を胸に抱く深セン海洋大学、北部湾海洋大学、伝承を心に誓う中国中医科学院大学、張仲景国医大学など、航空・宇宙、医学・薬学、海洋、リハビリテーション・療養などの特色を持つ新大学が、今静かに芽吹こうとしている。また、海外の教育ノウハウを導入するため、教育部は2003年、中外合弁大学(訳注:中国の大学と外国の大学が共同で運営する大学)の設立を許可する文書を発表した。中国本土と世界的な名門校が連携して作る大学に各地方は熱い視線を注いだ。同様に、中国大陸と香港・マカオ・台湾とが共同運営する高等教育機関も各地に続々と誕生した。

 
これらの新大学は、潤沢な資金が投じられ、開学当初からハイレベルであるか、または一定の基盤を有し、政府から強力な支援を得ている。各地でこうした新大学の建設が進めば、近い将来、これらの中から中国の高等教育の発展を促す重要な存在が現れるかも知れない。

 
高等教育資源の再分配

 
中国各地で続々と新大学の設立準備が進むのは、高等教育機関の入学者の拡大と質の高い高等教育資源の偏在による運営上の圧力であるかも知れない。

 
大学が入学者拡大に舵を切ってからの20年あまり、中国の高等教育機関への粗入学率(GER)は、1998年の9.76%から2021年には57.8%にまで上昇し、高等教育機関在籍者の総数は4,430万人と、十数倍に増加した。
世界でも最大規模を誇る中国の高等教育が普及した背後では、圧倒的大多数の高等教育機関が過度な飽和状態にあり、教員の育成の遅れ、用地不足、学校運営資源の不足などが日に日に深刻化している。

 
新大学の出現により、高等教育機関が抱える運営問題はある程度緩和され、大学運営の質を高めるさらなる余地が生まれ、内包的発展が促されることだろう。また、中国の優れた高等教育資源の分布は、長期にわたり不均衡であった。この点に関して、新大学の出現と発展は高等教育資源の再分配と見ることができる。同じ一級都市でも、広州の高等教育資源は北京や上海とは比べるべくもない。深センの高等教育に至っては、深セン大学ができる前はほぼ「ゼロ」に等しかった。

 
1億以上の人口を擁し、4年連続で中国の大学入試「高考」の受験生が100万人を超える河南省には、「双一流」大学がわずか2校しかなく、「二批」と呼ばれる二流大学、職業訓練校、民営高等教育機関などが省内の高等教育を支えてきた。「高考」で高得点をマークし、良い大学に行きたいと考える河南省の高校生は、河南省を離れる以外に選択肢はなかった。高等教育資源と経済発展水準のバランスをとるため、あるいは高校生の「家から通える良い大学に行きたい」という期待に応えるため、近年、広東省、河南省、浙江省などでは、新大学の建設に力を入れてきた。

 
中国で新たな道を見つける

 
新大学が中国のあちこちで花開いている現在、より良い大学に対する人々の期待は、増々切実になっているように感じられる。スタートからハイレベル大学として位置付けられ、歴史的しがらみのない新大学は、人々の目に全く新しい可能性として映っている。

 
「大学を新設する目的は、単に中国に大学を増やすというだけでなく、日本やドイツのようなやり方で学生を育て、中国で新たな道を見つけられればと考えたからです。」2021年11月、福耀科技大学の建設のため100億元を寄付したガラス王の曹徳旺は、『中国科学報』のインタビューにこう述べていた。

 
「新大学」がそれぞれの運営モデルを積極的に模索することにより、中国の広大な高等教育の地図上には、無数の新星が輝きを放っている。この新大学建設ブームが一段落した後、我が国の高等教育の方向性や構図は新しい相貌を帯びるのだろうか。その答えは時間だけが知っている。

 
2023/1/27


青塔: 正式招生!一批“新大学”,来了!

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