【ニュース・中国】一部高等教育機関が学部・修士課程の募集を停止 ハイレベル学術人材育成は博士メインに(3)

 
就職等における専門職修士の不平等待遇問題はどう解決すべきか?

 
「専門職学位大学院生教育発展計画(2020~2025)」では、専門職学位について、相対的に独立した教育モデルを備え、産学が連携した育成方針
が明確であると示されている。国内外における需要の変化から、専門職学位大学院生教育の重要性は増しており、その拡大が急務であるとされている。

 
実際、2017年以降、中国における専門職修士の募集規模は学術修士を上回っている。2017年入学の大学院修士課程生では専門職修士が56%を占め、
2009年以降、専門職修士の規模が初めて学術修士を上回った。2019年の募集では、専門職修士が全体の58.5%を占める47万4,000人に達した。
2019年の専門職修士在籍者数は147万4,000人に達し、全体の60.4%を占めている。

 
しかし、一方で昨年は、「非全日制大学院生(いずれも専門職修士)の就職差別」が大きな注目を集めた。これについて、昨年、教育部の関連責任者は
本紙の質問に対し、「2019年12月、教育部弁公庁等5部門は合同で「非全日制大学院生の就職業務のさらなる徹底に関する通知」を印刷、配布し、
雇用主は教育形式の異なる大学院生に対し平等に就職、戸籍登録の機会を与えなければならないことを明確にしている」と回答している。

 
とはいえ、今日に至っても、中国の少なからぬ高等教育機関では、専門職修士と学術修士の育成に明確な区別はなく、専門職修士は足切りラインが低めで、
学費が高いだけ、それなのに就職活動においては、一部の企業から、直接あるいは間接的に学位の類型でふるい落とされ、より多くの制限を受けるという声

ネット上で散見される。

 
つまり、専門職修士は需要が拡大する一方で、実際にはなかなか平等な機会と権利が得られないという現象が起きているのである。

 
これについて、儲氏は次のように指摘する。専門職修士は入学のハードルが比較的低めで、育成の質や基準に差が生じており、そのことが学びの過程や育成
結果において、学術修士と異なる結果
を招いている。現時点では、専門職修士と学術修士に対する就職関連部門の捉え方が異なっており、平等に取り
扱うことに一定の困難が存在している。この問題は各方面が共に努力を重ね解決していくことが必要だ。

 
一方、陳氏は、「教育部、中国共産党中央組織部、人力資源・社会保障部を含む5部門が発表した「非全日制大学院生の就職業務のさらなる徹底に
関する通知」において、「雇用主は教育形式の異なる大学院生に対し平等に就職、戸籍登録の機会を与えなければならない」と明示されており、
主管部門が介入し、雇用差別問題に対処すべきだと指摘する。

 
「当然、差別の背後には、人材育成の質に対する雇用主の不安がある。問題の根本はここにあり、カギとなるのは、個人の総合能力・リテラシーを向上
させること
だ。トップクラスの名門校の専門職修士なら、誰が差別しようと思うだろうか。」。

 
また、儲氏はこうも指摘する。「今後も専門職修士の募集は拡大していくべきだが、それとともに専門職修士の育成の質の大幅な向上も求められる。現実の
問題が解決されないまま、単に統一基準を設けても、新たな不公平を生むだけ
だ」

 
2021/05/18


澎湃新闻: 专家谈部分院校停招学硕:高层次学术人才培养转向以博士为主


地域 アジア・オセアニア
中国
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
行政機関、組織の運営 組織・ガバナンス・人事、政策・経営・行動計画・評価
大学・研究機関の基本的役割 教育
人材育成 入試・学生募集