【ニュース・中国】ウィルス感染症拡大が卒業実習に影響? 浙江財経大学で初の試み、1年間の「バーチャル模擬実習」

 
 午前8時50分、徐従聖は毎日、パソコンで実習のタイムカードを押し、指導教官のライブ授業を視聴した後、オンラインの「バーチャル模擬実習」システムにログインし、実際の「市民センター」に似た多くの窓口業務を実行した。

 
 「行政サービス」の担当者として、徐従聖はネットワークのバーチャル環境の中で、模擬経営者の学生が行う取引業務や納税申告、税務規則の制定、そして違反に対する処分の書類を処理する。

 
 徐従聖は浙江財経大学工商管理専攻の2020年卒業生だが、彼は在宅で卒業実習を履修し、「実施すべき実習は全て、オンラインのバーチャル・ビジネスシステム上で行われた」という。

 
 新型コロナウィルス感染症拡大により、卒業間近の多くの学生は、外出すれば健康・交通・規制など様々なリスクに直面することになり、その影響で通常の卒業実習が出来なくなった。そこで、浙江財経大学は「バーチャル模擬実習」を実施し、学生が安全で手軽に利用できるオンラインの実習条件を提供することで、徐従聖のような学生が在宅で卒業実習を履修できるようにした。

 
 「バーチャル模擬実習」は、実際のビジネス環境を再現することで、行政サービスセンター・商業銀行・取引業務センター・人材バンク・会計事務所などの役務提供業者およびサプライヤー・メーカー・貿易会社・物流業者などの経営主体を構築し、学生に行政責任者・銀行頭取・会社の経営者・会計士などの職種の役割を割り当て、市場のバーチャル運営を行うことで、卒業実習を完了するというものである。

 
 今回、浙江財経大学は計10の「バーチャル模擬実習」クラスを開設したが、それぞれのクラスは独立したビジネス環境システムとして運営され、学生が全ての職種の役割を担い、オンラインのバーチャル環境の中で1年という時間をシミュレーションして、ビジネスのリスクを体感する必要があるという。

 
 様々な学生がビジネスにおける異なる役割を担うが、役割ごとに権限も異なり、権限が異なることで異なる操作ページと操作タスクが発生するということだ。学生は職業が違えばやることも異なり、例えば徐従聖が所属する行政サービスセンターには計2人いるが、主任選挙に敗れたため徐従聖は職員を担当することになったという。「主任と私の操作内容は同じではありません」

 
 学生の実習の作業プロセスを聞くと、気軽にマウスをクリックすればいいというものではなく、自分の行政サービス内容に精通する必要があるとのことだ。そのほか、参加者の疑問を解決したり、行政情報を公布し、規則を制定したりする必要がある。各企業に納税を促し、違反者には処罰を加える。同時に、公証担当と調停者として、各企業が締結した契約、覚書などをバックアップすることで「一方が契約違反の責任を取ろうとしないことを回避する」必要があるという。

 
 リアル実習とネットワークでの実習を比較すると、オンラインとオフラインの実習における共通点はコミュニケーションであり、作業では頻繁にコミュニケーションを取らないと問題解決できないと徐従聖は見ている。一方、違いがあるのもやはりコミュニケーションで、オンラインでは他の職種の担当者とは基本的にディントーク(中国のオンライン会議システム)でやりとりするが、「見落としがあったり、情報を見るのが遅れたりすることもあります。また、一部の直感的なコミュニケーションは、オフラインでやる必要があると感じました」と言う。

 
 何宇という学生はシミュレーションの実践で、メーカーの社長という役割を担当した。彼から見ると、バーチャル模擬実習システムは一つのビジネスオペレーションのプラットフォームを再現したものであり、実際のビジネス交流とほぼ同じようなものである。彼らは画面内でデータを記入し、フォームを提出し、「契約や勘定振り替えの場合、標準のフォーマットに記入した情報を交易センターと商業銀行に送付しておけば、オペレーション完了後は在庫・発注・資金や勘定の状況に関する情報を検索できます」と言う。

 
 ビジネス環境は複雑で変化が激しいものだが、バーチャル模擬実習においても、どの職種の学生も手を焼く問題にぶつかることがある。「企業経営は慎重に責任を負うことが必要で、企業の潜在的能力に着目するプランこそ徹底して実行する必要があります。そうでなければ、ちょっとの動きが全体に及び、企業全体が苦境に陥ることになります」と、何宇は本人が担当するメーカーの社長という経営の体験を語ってくれた。彼は、貿易会社のコロコロ変わる態度、CEOが調達管理者の締結した契約を認めないという信用危機、業界団体設立の失敗、独占禁止法違反調査を受けた後に信義誠実を疑問視されたことなどの問題が起きたときは、より一層企業間でコミュニケーションを取ることに全力を尽くしたと認めた。

 
 今回のバーチャル模擬実習は浙江財経大学が感染症拡大の状況下で取った特殊なモデルであり、学生たちが初めてオンラインで卒業実習を行ったケースでもある。「今回のバーチャル模擬実習は緊急避難的なものだったが、必要性もありました」と浙江財経大学の李政輝教務処処長は語る。李処長は、バーチャル模擬実習は現実の実習条件が不十分な中で学生の卒業実習ニーズに応えただけでなく、学生にサービスを提供する上でも、インターネットを使った教育を新たに探る結果になったと考えている。「インターネットが生活に深く関わるようになれば、より早く手軽な方法によって行政管理の運営方法とビジネスモデルを変えることになるでしょう」

 
2020年5月18日
 


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地域 アジア・オセアニア
中国
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